ローカルニュースの行方

TV[R]EVを展開するメディアアナリストのAlan WolkがNextTVに寄稿し、ローカルニュースの需要の高さを説いています。

 

Wolk氏は、同社が複数社と合同で全米6万人を対象に行った最新のテレビ視聴調査で、ローカルニュースの需要がまだまだ非常に高いことが示されましたとしています。また、そのデータを基に将来のローカルニュースのビジネスモデルを予測しています。

 

今回の調査結果で得られた結果は以下の通りです。

 

  • GenZとミレニアル世代の21%は、地上波でローカルニュースを見ている。
  • GenZとミレニアル世代の68%は、ローカルニュースを配信で見ている。
  • 65歳以上のシニアが配信にシフトしてきており、36%は配信でローカルニュースを見ている。

 

別記事でもお伝えしましたが、ABCの売却報道や他の大手の身売りも現実味を帯びる中で、今後、ローカルニュースは、配信経由、特にFASTチャンネルで提供される方向に向かっているとWolk氏は分析しています。

 

地上波のローカルニュースは、基本的には朝、夕、夜ですが、配信で24時間体制となると制作作業は大変です。しかしWolk氏は、例えばSpectrumのケーブルニュース「NY1」はそれを既に30年間行っているとし、ビジネスモデルは成立するはずだと指摘。また、配信で得られる視聴者データも魅力で、ローカルニュース局はそのデータを駆使し、個人または郵便番号ごとにターゲティング広告を展開できることも利点となります。

 

さらに、報道視点でも、これまで以上により細やかなローカルニュースを提供できると指摘。例えば、カウンティー(郡)ごとに、そのエリアだけの視聴者向けの情報を提供するなどが挙げられます。

 

従来のビジネスモデルでは、ローカル局はMVPDから支払われる同時再送信料で潤ってきたわけですが、それが今崩れてきています。Wolk氏は「今後も縮小の一途を辿り、5〜10年後には消滅するだろう」と予想し、それに代わる収入源として、オリジナルのコンテンツをFAST展開やコンテンツのライセンシングや販売を挙げています。その意味でも、既にオリジナル番組を多く制作するAllen MediaによるABC買収の行方は、非常に興味深いものがあると指摘しています。