TTD、スマートTVOSに参入か

The Trade DeskがTV OS事業に参入かというニュースをLowpassというメディアが報じ、業界で話題となっています。Lowpassのスクープによれ[…]

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The Trade DeskTV OS事業に参入かというニュースをLowpassというメディアが報じ、業界で話題となっています。Lowpassのスクープによれば、来年の頭にはTTDOSを搭載したテレビが販売されるということです。

 

スマートTVOSでは、RokuGoogle TVAmazon Fire TVに加え、韓国勢のLGSamsungも独自のOSを展開しており、既に多くの競合が存在します。TTDの狙いに関して業界関係者は、TTDで販売できるアドレサブルな在庫を増やしたいこととディバイスレベルでの視聴データを入手することではないかと分析しています。

 

ただし、TVディバイスの普及を伴う市場でのゼロからのスケールアップは相当な時間とお金を要しそうです。この噂に対してCEOJeff Greenは否定しましたが、Lowpassはすかさず、TTDの最初のハードウェアパートナーとしてSONOSの名前を具体的に挙げています。

 

 

多くのTVOEMがRokuAmazonGoogleを採用する理由は、既にNetflixDisneyPeacockといった主要なストリーミングサービスがOSに対応しているからであり、TTDはこうしたストリーミングサービスとのビジネスコネクションを活用して、自社OSへの対応を迫る方針だとされます。

 

SONOSGoogleRokuAmazonSONOSのサウンドバーをめぐる訴訟を抱えており、そうした立ち位置がTTDの今回の選択につながったのではないかとされます。

 

真偽のほどはわかりませんが、戦略実行にはかなりのヘビーリフトが必要になるので、TTDの今後の動向に注目です。ComcastもXumoで苦戦しているようなので、どうなのでしょうか…

 

(参考リンク)

https://www.lowpass.cc/p/the-trade-desk-smart-tv-os-platform

https://www.lowpass.cc/p/sonos-the-trade-desk-tv-streamer-os

Amazon、オーディオブックにAI音声を使用

Amazonのオーディオブック事業のAudibleは、ナレーション用に生成AI技術で作ったプロのナレーターの音声を使用するベータサービスを開始しました。AI利用[…]

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Amazonのオーディオブック事業のAudibleは、ナレーション用に生成AI技術で作ったプロのナレーターの音声を使用するベータサービスを開始しました。AI利用によりオーディオブックの迅速で安価な制作を支援し、リスナーの選択肢を広げてオーディオブック市場の活性化を図ります。同時に、ナレーターに自身の音声のレプリカを制作し、収益化する機会を提供するとしています。

 

Under the new arrangement, rather than limiting the audio work entirely to company-owned synthetic voices, Audible will be encouraging professional narrators to get in on the action.Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

 

Audibleによると、ベータサービスは当面、米国に限定し、ごく小規模で実施されます。現在、少数のナレーターにプロジェクトへの参加とAI訓練への協力を打診しており、これに同意したナレーターは無料で自分の声のレプリカを作ることができます。自身のAI音声を使ってオーディオブックが制作されたナレーターは、ロイヤルティ共有モデルによって作品ごとに支払いを受けとるということです。

 

ナレーターは自身のAI音声がどのプロジェクトで使用されるかをコントロールでき、無断で使われることはありません。使用を承認した場合も、最終的にAI音声の発音やテンポをAudible製ツールを使って編集できるなど、ナレーターは制作プロセス全体を通じて中心的役割を果たします。

 

こうして作られた作品には「AI音声使用」が明示されるということです。

 

Amazonは昨年、Kindle Storeで作品を販売する米国ベースの自費出版の著者を対象に、「バーチャル音声(合成音声)」でナレーションを入れるオプションの提供を始めました。このオプションは人気が高く、今年5月時点で4万点以上の作品が合成音声で制作されていたそうです。AI音声の使用は、この延長線上で実施されます。

 

オーディオブック業界にも生成AIの波が押し寄せていますが、ナレーターをはじめ関係者の間には失職の不安や作品の質低下に対する危惧が根強いと指摘されます。Amazonは、自ら提示する収益共有モデルや技術力でそれらを軽減し、ナレーターやクリエイターとウィンウィンの関係を築くことができるのか、今後の動向が注目されます。

 

(参考リンク)

https://www.acx.com/mp/blog/now-in-beta-narrator-voice-replicas-on-acx

https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-09-09/amazon-s-audible-to-create-ai-voice-replicas-of-select-audiobook-narrators

 

NBCU、アドバンスオーディエンス取引の現状

23年の12月にRokuからNBCUに移籍し、NBCUのAdvertising & PartnershipsのトップとなったAlison Levinです[…]

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23年の12月にRokuからNBCUに移籍し、NBCUAdvertising & PartnershipsのトップとなったAlison Levinですが、Adexchangerとのインタビューで、NBCUにおける年齢・性別デモ以外の取引の現状について語っています。

 

Alisonによれば、アドバンスターゲティングは、テレビ広告取引の近年の変化の中で、最も大きなものだし、デモベースのバイイングは、結果的に同じ視聴者に何度も何度もリーチすることになってしまうと指摘した上で、アドバンスオーディエンスでは、そうした無駄を省き、実際に広告に興味がある視聴者にリーチできるという利点を強調しました。

 

NBCUでは取引環境の整備や教育もあり、特にストリーミング在庫の取引に関して、アドバンスオーディエンスへの移行が加速しているとしており、NBCUのアップフロント取引の50%以上が、アドバンスオーディエンスで取引されているとしています。(取引量ベースなのか広告主数ベースなのかは不明)

 

Alisonは、オーディエンスベースの取引をさらに加速させるには、メジャメントとアトリビューションの進化が必要とし、「オーディエンスベースと言っても、特定のマーケット内の視聴者というレベルから購買の可能性が高いオーディエンスなどレベルまである。バイヤーは、キャンペーンの効果把握や最適化などが容易になるため、アドバンスオーディエンス取引を利用しており、そのためにはメジャメントとアトリビューションの把握が重要だ。」としています。

 

NBCUは、今年のOne24で、One Platform Total Measurementというフレームワークを発表し、アドバンスオーディエンスでプランニングをした場合のNBCUが推奨するメジャメント・アトリビューションベンダーをリスティングし、広告主に提供しています。

 

デモ以外の取引は、記事にもあるように、ストリーミングでは広がってきているようですね。リニアはスポーツ中心でNielsenからの脱却は難しいと思いますが、スポーツ以外のストリーミングを軸にしたオーディエンスパッケージング(ストリーミング➕データドリブンリニア)でも、代替カレンシーの出番は増えているようです。

 

(参考リンク)

https://www.adexchanger.com/adexchanger-talks/talking-advanced-audiences-with-nbcus-alison-levin/

WBD、Charterとディストリビューション契約を更新

米最大のケーブル事業者であるCharter Communicationsのテレビ部門Spectrumは、Warner Bros. Discovery(WBD)と[…]

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米最大のケーブル事業者であるCharter Communicationsのテレビ部門Spectrumは、Warner Bros. Discovery(WBD)とのディストリビューション契約で、満期より1年も早く、この秋合意に達しました。

 

今回の合意により、SpectrumのケーブルテレビプランにWBDの配信サービスを組み込むことが決まりました。WBDのケーブルチャンネル群(TNT、CNN、Food Network、HGTV、TLC、Discovery、TBS、Adult Swim、Investigation Discovery)に加え、今後はSpectrum TV Selectプランの契約者に、MaxとDiscovery Plus(いずれも広告入りプラン)を追加料金なしで提供します。契約金額など、合意内容の詳細は公表されていません。

 

昨年秋、Charterは、Disneyとの交渉の末に、業界初のハイブリッドプランでの合意に至りました。Disney+とESPN+をケーブルチャンネルと同様にSpecrtum契約者に提供するというものです。Charterは同じタイミングで、ケーブルと配信の両方を操作できるハイブリッドディバイスXumoを導入。今や、従来のセットトップボックスに代わるコントロールディバイスとして、Xumoを前面に押し出しています。Charterはその後、Paramount Global(Paramount+およびBET+)、TelevisaUnivision(Vix)、AMC Networks(AMC+)とも同様のハイブリッドプランで合意しており、今回のWBDはその流れに続くものです。

 

ケーブルから配信に視聴者が流れている今、その両方を提供することで生き残りを図ろうというのが、昨年からのCharterの戦略。今年6月末現在で、Charterのケーブル契約数は1272万世帯(企業契約を含めると1330万)で、前年同期比9.6%減と減少傾向にあります。CEO・Chris Winfreyは「WBDとの新たな合意によって、リニアと配信を組み合わせた動画ディストリビューションモデルをさらに推し進め、契約者にフレキシブルなパッケージを提供することができる」と話しています。

 

今回の早期合意の背景には、近い将来NBA中継権を失うWBDが現行のディストリビューションの売上をなんとか維持しようと必死になっていることが背景にあるようです。今回のハイブリッドプランの合意についてWBDのCEO・David Zaslav は「Charterとの契約満期を待たず、1年も早く今回の合意に達したのは、両社ともに将来の事業展開における土台を構築するため。視聴者にはより多くのコンテンツへのアクセスを提供し、同時に業界としてもさらに進化していくためだ」とコメントしています。

 

ちなみに、先日お伝えしたDisneyとDirecTVの交渉ですが、2週間に及ぶブラックアウトの末、先週末に妥結しました。DirecTVはDisneyのケーブルチャンネルをキャリーするとともに、Disneyの動画配信サービス群をユーザーに複数の形態で販売していくことになります。

 

(参考リンク)

https://www.nexttv.com/news/charter-reaches-distribution-deal-with-warner-bros-discovery-that-gives-subscribers-streaming-service-max?

https://variety.com/2024/tv/news/max-streaming-free-charter-spectrum-tv-select-wbd-deal-renewal-1236142065/

ローカル局グループでもスポーツ人気

ローカル局グループのアップフロントというのはあまり話題になりませんが、今年はThe E.W. Scripps Companyのアップフロントが取り上げられていま[…]

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ローカル局グループのアップフロントというのはあまり話題になりませんが、今年はThe E.W. Scripps Companyのアップフロントが取り上げられています。複数メディアが同社への取材をもとに、主に女子スポーツを強化する戦略が奏功し、取引量が1桁台前半の伸びを示したと報じています。

 

Scrippsは、40以上の市場で60超のローカルテレビ局を運営するローカルテレビ放送グループ大手です。ほかにもION、Bounce、Court TVを含む全米ニュース・娯楽ネットワークを運営し、ION、BounceXLなどのFASTチャンネルを提供しています。

 

Kamilla Cardoso of the Chicago Sky and Caitlin Clark of the Indiana Fever reach for the ball. Michael Hickey/Getty Images

 

同社は金曜夜のWNBAの試合、土曜夜のNWSL(全米女子サッカーリーグ)ダブルヘッダーを放送するなど女子スポーツに力を入れており、アップフロントではWNBAの人気選手Caitlin Clark率いるIndiana Feverの試合をピッチデックでアピールしました。ScrippsのCRO(Chief Revenue Officer)、Brian Norrisは、今年のアップフロントはScrippsと同規模のパブリッシャーにとって苦戦が予想されたにもかかわらず、同社はスポーツ関連が好調で「(広告)需要が供給をもう少しで上回るほどだった」と振り返っています。

 

CTV関連も好調で、売上は昨年の実績に対し、70%以上増えたということです。

 

女子スポーツ人気は視聴率にも表れており、例えばIONが8月30日に放送したIndiana FeverがChicago Skyに100対81で勝利した試合は、平均視聴者数が160万人、ピーク時視聴者数が192万人に達し、IONが放送権を獲得して以降の2年間で、同ネットワークで最も視聴されたWNBAの試合となりました。

 

他社と同様に取引量やCPMは非公開ですが、Norrisによると、取引量は昨年のアップフロント実績から1桁台前半の増加となりました。スポーツ番組のCPMは1桁台前半から半ばの伸びを示したということです。

 

Scrippsのプラットフォーム全体で、自動車やアルコール飲料、保険、旅行、通信などの業界から20社以上の新規広告主を獲得。そのうち25%がD2Cブランドまたは中小企業でした。

 

Norrisによると、近年人気の女子スポーツをきっかけに、広告主に同社ポートフォリオのその他番組やオーディエンスに興味をもってもらえるようになり、スポーツ以外の番組の取引量増加にもつながったということです。

 

ネットワークにとってスポーツ頼りは鮮明ですが、ローカルグループでもRSNの崩壊を取り込んでこうした展開が今後は増えてきそうですね。

 

(参考リンク)

https://www.adweek.com/convergent-tv/scripps-closes-upfront-women-sports/

https://www.streamtvinsider.com/advertising/womens-sports-led-strategy-propels-upfront-results-scripps

 

秋シーズン開幕、スポーツとニュースが堅調

9月に入り新シーズンが始まったテレビ業界ですが、NFLシーズンの開幕に大統領候補者討論会とライブイベントに高い注目が集まっています。    […]

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9月に入り新シーズンが始まったテレビ業界ですが、NFLシーズンの開幕に大統領候補者討論会とライブイベントに高い注目が集まっています。

 

 

NBCPeacockで放送・配信された、95日木曜夜のNFL開幕戦(Kansas City ChiefsBaltimore Ravens)。NielsenAdobe Analyticsの集計データよれば、視聴者数はリニア、配信合わせて平均で2890万人となり、昨年の開幕戦(KC ChiefsDetroit Lions)の2750万人を5%上回りました。ピーク時(米東部時間の930-945分)では視聴者数が3300万人に達しました。

 

デジタルプラットフォームでの視聴は460万人となり、昨年の開幕戦の280万人から65%増となりました。

 

また、この日はスタジアムにTaylor Swiftの姿もありました。2023年シーズンから、ChiefsのタイトエンドTravis Kelceとの交際が発覚したSwiftがスタジアムに応援に来ることでNFLの視聴者層が広がる「Swift効果」が騒がれましたが、どうやら今年も続きそうです。

 

さて、そのTaylor Swiftが盛り上げてたもう一つビッグイベントが大統領選挙です。注目の討論会終了直後に、Swiftがハリス支持を公式発表し、テレビやソーシャルで大きな話題となりました。

 

 

9月10日夜9〜11時(米東部時間)に行われた民主党候補カマラ・ハリス米副大統領と共和党候補ドナルド・トランプ前大統領による初の討論会は、全米で生中継されました。

 

討論会は、主催局ABCに加え、CBS、FOX、NBC、Merit Street、Scripps News、Telemundo、Univision、BET、CNN、CNNe、FOX News Channel、FOX Business、MSNBC、Newsmax、NewsNation、PBSの全17局が生中継し、高い視聴者数を記録しました。17局合計の総視聴者数は平均6714万人となり、6月末にCNN主催で行われたバイデン・トランプ討論会の5127万人を大きく上回りました(Nielsen)。

 

局別トップは、主催局ABCの1905万人。過去16年間の全討論会中継史上、全てのネットワークで最高の視聴者数を記録しています。ABCの親会社Disneyの配信プラットフォームHuluとDisney+、ABCの傘下ローカル局それぞれの配信アプリでの視聴者数も合計740万人で、リニア・配信の合計視聴者数は2640万人に上ったということです。Disney+もサービス開始以来最高の視聴者数を記録したライブイベントになりました。

 

局別トップ10は、1位がABCの1905万人、2位以下NBCの1008万人、FOXニュースの906万人、MSNBCの683万人、CBSの619万人、FOXの485万人、CNNの439万人、FOXビジネスの295万人、Telemundoの116万人、Univisionの98万人。残り470万人がその他7局です。Nielsenによると年齢別では、55歳以上が4135万人で突出しています。35〜54歳が1688万人、18〜34歳が647万人でした。

 

ちなみに大統領候補者討論会における視聴者歴代トップは、2016年ヒラリー・クリントン・ドナルド・トランプによる初回の8400万人です。

 

今回の討論会で話題を集めたのが、司会を務めたABCアンカー二人によるリアルタイムのファクトチェックだったと、WSJが伝えています。特に視聴者の記憶に残っているのが、移民問題でのトランプ発言「オハイオ州スプリングフィールドのハイチ移民が、地元住人のペットの犬猫を食べていた」ですが、この時司会者の一人David Muirが間髪を入れず、「そのような事実はありません」とピシャリ否定しています。また、中絶問題など、他にも何度かリアルタイムでトランプ発言にファクトチェックが入りました。WSJは討論会終了後、2時間に及ぶ討論会の全発言に対してファクトチェックを行い、その報告書をウェブサイト(参考リンク)で公開しています。

 

(参考リンク)

https://www.nytimes.com/athletic/5751178/2024/09/06/ravens-chiefs-tv-ratings-nfl-nbc/

https://www.tvtechnology.com/news/671m-viewers-tune-in-for-abc-news-harris-trump-debate?

https://www.wsj.com/politics/elections/abcs-fact-checks-draw-attention-in-harris-trump-debate-4b3ea711?

https://www.wsj.com/politics/elections/harris-trump-debate-fact-check-analysis-transcript-de9256a7

ハッシュIDにFTCが警告

GoogleとDOJの対決を見ても、広告業界への政府の介入が増えてきていますが、FTC(Federal Trade Commission)は、業界に広がるハッシ[…]

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GoogleDOJの対決を見ても、広告業界への政府の介入が増えてきていますが、FTCFederal Trade Commission)は、業界に広がるハッシュしたアイデンティファイヤーは個人情報にあたるという見解を示し、業界に警告を与えました。「ハッシュは匿名とは言えず、結果的にユーザーを特定し、ユーザーにって害となる可能性がある」というものです。

 

FTCがこうした警告を出したのは初めてではなく、古くは2012年に、ハッシュは匿名にあたるのかというブログを出していました。

 

こうした議論はハッシュしたEmail以外のアイデンティファイヤーでも起きており、サードパーティークッキーの代わりにこうしたアイデンティファイヤーを使うことは、結局のところ個人特定と変わらないというものです。

 

FTCが警告を出したということは、次に具体的な動きがあるのではないかと業界は警戒しています。

 

そうした中で、ポストクッキーのアイデンティファイヤー争いを展開するThe Trade DeskUID2.0(まさにEmailを基盤とするわけですが…)は、その採用が進み、活用に十分な規模まで広がったとQ2決算に合わせて発表しています。

 

CEOJeff GreenUID2.0の採用が、ここ数ヶ月だけでもFoxRokuなどに広がったことを挙げ、オーディオでもPandoraが採用したことを強調しました。現在の参加企業は下記リンクで確認が可能です。

 

一方でeMarketerからは下記のようなデータが出ており、これを見る限り、UID2.0はまだ道のりが長そうです。ただし、CTVに限定するとシェアは高いのかもしれませんね。

 

 

(参考リンク)

https://unifiedid.com/partners

https://www.adexchanger.com/marketers/ad-tech-companies-should-heed-the-ftcs-warning-about-hashing/

https://www.adexchanger.com/online-advertising/the-trade-desk-says-uid2-has-now-reached-critical-mass/

 

 

ポッドキャスト、広告増加で聴取体験悪化に懸念

新たな広告媒体として注目されるポッドキャストですが、近年の広告量の増加がリスナーの聴取体験を損なわせ、リスナー離れを招くとの懸念が一部業界関係者の間で出ています[…]

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新たな広告媒体として注目されるポッドキャストですが、近年の広告量の増加がリスナーの聴取体験を損なわせ、リスナー離れを招くとの懸念が一部業界関係者の間で出ています。

 

WSJによると、マーケティング代理店のOxford Roadとオーディオ計測会社Podscribeは独自調査の結果、ポッドキャスト配信時間に占める広告の割合が2021年Q2の平均7.9%から、2024年Q2は平均10.9%に増えたと報告しました。リスナーが聞いた番組1時間あたりのポッドキャスターの広告収入は、2015年に$0.02(3円)、2021年に$0.05(7円)弱だったのに対し、2024年は$0.06(8円)に増加したということです。

 

これらの数字が示すのは、広告媒体としてのポッドキャストの台頭です。過去20年で着実にオーディエンスを増やし、その他メディアよりも親密な体験を提供するとされるポッドキャストには、最近になってようやく多国籍大手ブランドも広告を出稿しています。

 

エピソードあたりの広告量の増加は供給と需要のトレンドを反映したもので、その背景には、十分な広告予算を持たないDTCブランドが主流だったポッドキャスト広告市場に大手ブランドが参入したことや、ポッドキャストネットワーク、自動入札システムの登場も相まって、ポッドキャスト広告枠の大量購入が簡便化されたことなどがあります。

 

同時に、業績改善の圧力を受けたポッドキャスト会社や企業のポッドキャスト部門が、新たな収益源として広告売上を増やすため、広告量を増やさざるを得なかったという事情もあると、Oxford Roadは解説しています。

 

Oxford Roadが「一部のパブリッシャーは、すでに本来あるべき水準以上に広告を挿入している」と指摘するように、収益化を優先して広告回数を増やした結果、リスナーの聴取体験が悪化し、広告媒体としての価値の低下を危惧する声があがっています。例えばAlex Cooperがホストの人気ポッドキャスト番組「Call Her Daddy」の場合、最近のエピソードは1時間に4つの広告枠が設けられ、広告8本が挿入されていたそうです。

 

とはいえ、ポッドキャストの広告量は、その他ほぼすべてのメディアと比べて比較的低く、米国消費者がもともとテレビやラジオの長いCMブレークに耐性があることなども踏まえると、人気番組にはもっと広告が挿入されてもおかしくないと考えるアナリストもいます。実際、ポッドキャスティングの調査・擁護団体であるSoundsProfitableのデータによると、広告を「耐えられない」「かろうじて我慢できる」と回答したのはポッドキャストリスナーのわずか10%で、42%は「少しうっとうしいけど我慢できる」と考えていたそうです。

 

しかし、広告を増やすのは逆効果と考える業界幹部もいます。Oxford RoadとPodscribeの調べでは、リスナーが広告に反応し、広告主のウェブサイトを訪問したり製品を購入したりする可能性は、エピソードあたりの広告数が増えるにつれて低下することがわかったそうです。また、番組制作側やホストは必ずしも全員が広告を増やしたいと考えているわけではなく、特に広告ネットワーク経由で自身がエンドースしない企業の広告が挿入されることを嫌がるケースや、リスナーが興味を持ちそうかどうか、広告の量よりも質を重視するケースもあるということです。

 

こうしたポッドキャストの広告効果最大化に向け、IABは8月、昨年12月にリリースした調査報告書「The Creator Economy Opportunity」のフォローアップ版として「Podcasting in the Creator Economy: A Long-Term Opportunity」を発表しました。このガイドでは、リスナーへの影響力が強くエンゲージメントを促進するポッドキャストの能力に焦点を当て、ブランドとクリエイター提携のベスト・イン・クラスの例を紹介しています。参考リンクをご参照ください。

 

ポッドキャストは、ただ単に広告を増やすのではなく、ホストの影響力をうまく活用した新しい広告の形も取り入れていく必要がありそうですね。

 

(参考リンク)

https://www.wsj.com/articles/podcasts-used-to-be-ad-light-oases-not-anymore-ac698aec

https://www.iab.com/guidelines/podcasting-in-the-creator-economy/

 

iSpot、JIC認定を獲得

少し遡り8月中旬になりますが、iSpotがナショナルカレンシーとしてJIC認定を獲得しました。JICはすでにVideoAmpとComscoreを4月にカレンシー[…]

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少し遡り8月中旬になりますが、iSpotがナショナルカレンシーとしてJIC認定を獲得しました。JICはすでにVideoAmpComscore4月にカレンシー認定していますが、iSpotの認定はこの2社とはやや異なるもののようです。

 

iSpotは世帯やアドバンスオーディエンスセグメントに加え、個人レベルのデモに対するトランザクションに使用できる初のTVカレンシーとなります。VideoAmpComsocreは、あくまでも世帯や世帯に紐づくアドバンスオーディエンスに関するものであり、個人レベルのデモでは推奨されていません。(おそらくiSpotの基礎となっているのはARFDASHではないかと思います)

 

JICは、安定性、正確性、透明性などの検証が行われた上で、JICのメンバーであるParamountNBCUniversalSamsungDentsuGroupMOmnicomなどからもフィードバックを得て判断したとしており、理論的には業界が目指すクロスプラットフォームでの年齢、性別のデモ取引でも使用できるとしています。

 

しかし業界では代替カレンシーに対する懸念の声があるのも事実です。JIC4月にVideoAmpComscoreに認定を出した後に、4Aのメジャメントコミッティーはデモベースのバイイングに関してNielsen以外にカレンシーとしての認定を出すのは時期尚早だと異を唱えました。

 

理由としては、これらのベンダーは、まとめたインプ(Aggregated impressions)を基にデモデータを提供していたためで、バイヤーとしてはあくまでも個人レベル(Nielsenはパネルのメーターでこれを捕捉)でのデモデータが必要とされるからだとしています。その意味では、iSpotはこうした要望に対応した形になりました。

 

クロスプラットフォームのデモデータは、iSpotが強みとするところです。リニアの広告取引は、スポーツの盛況もあり、多くは年齢、性別デモをベースに行われているのが現状です。しかし、バイヤーは、引き続き、CTVのようなリニア以外のメディアチャンネルでもデモベースの重複排除したリーチとフリークエンシーの計測を要望しています。そうすれば広い意味でのテレビ(ビデオ)広告予算を、リニアとストリーミングに最適配分が可能になるからです。

 

この点がiSpotの個人レベルでのデモデータが強みを発揮するところで、「他社のような代表性を持たすためにデータソースを加重する手法は採用しておらず、そのような方法はインプを一貫性をもって個人や世帯に割り当てることを難しくしている。」と自社の手法の正当性を訴えています。

 

iSpotJIC認定を受けたことで、来年ローンチ予定のパブリッシャーのストリーミングデータにアクセスすることが可能になり、同社には大きなプラスになります。ただし、DisneyNetflixPrime Videoといったパブリッシャーが欠けている点は大きな問題であり、この点は、JICがどこまでメンバーシップを広げられるかが今後の鍵となりそうです。

 

(参考リンク)

https://www.adexchanger.com/tv-2/ispot-gains-national-currency-certification-which-could-boost-its-place-in-the-measurement-race/

NBCU、パリ五輪のインフルエンサー戦略

NBCUが米国で独占中継した夏季五輪パリ大会の視聴者数は、前回の東京大会から82%増で、Peacockでの配信視聴も記録的なものとなりました。   ラ[…]

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NBCUが米国で独占中継した夏季五輪パリ大会の視聴者数は、前回の東京大会から82%増で、Peacockでの配信視聴も記録的なものとなりました。

 

ライブ中継(米東部時間で午後2〜5時)と夜のプライムタイム録画放送(同夜8〜11時)を合わせた総視聴者数(Total Audience Delivery: TAD、地上波、ケーブル、配信を合わせた視聴者数)の平均は3060万人となり、同じ基準で計測された東京大会の2080万人を大きく上回りました。Peacockでの延べ配信時間も、東京大会と北京大会の過去2回分の合計を上回るという記録的なものとなりました。NBCUとしては次回の自国開催に向け弾みをつける結果となりました。

 

今回、NBCはZ世代へのアプローチとして、ソーシャルメディアのインフルエンサーを起用したことも注目を集めています。NBCは27人のスター・インフルエンサーに記者証を与え、米国から現地パリに派遣。ネットワークがTikTokやInstagramのインフルエンサーに記者証を与えるなど前代未聞です。

 

ソーシャルメディアの利用について、IOCが規制を緩めたことも背景にあるようです。IOCはこれまで、インフルエンサーやアスリートらによるソーシャルメディアでの動画投稿を厳しく規制していました。ところが今回のオリンピックからその規制が大幅に緩和され、インフルエンサーはもとより、アスリートらも自由に大会中の様子をソーシャルメディアで投稿できるようになりました。

 

NBCはこのインフルエンサーの人選に1年をかけたと言います。27人の中には、ジムナスト/インフルエンサーのOlivia Dunne、スポーツメディア企業Overtime所属の5人のクリエーターなど、スポーツ関連分野からの人選もありますが、オリンピック中継を見る幅広い層の視聴者にアピールするように、ライフスタイルや旅行、グルメ、ファッションなど、スポーツ以外のさまざまなジャンルから選び抜いたそうです。彼らは「Paris Creator Collective」と称され、現地でアスリートにインタビューしたり、パリのフードや文化、観光スポットを紹介したりするなど、それぞれの専門分野で、それぞれの視点から、パリ五輪をフォローワーに向けて現地レポートしました。

 

 

この初のインフルエンサー戦略は、NBCが過去2回の五輪中継での失敗の同じ轍を踏まない戦略でした。2021年の東京大会はコロナ禍で延期されたという不運もありますが、米東海岸との13時間の時差もあり、プライムタイムの視聴者数は平均1560万人と、リオ大会の2700万人から大きく減少。翌2022年の北京冬季大会も、長引くコロナ禍と時差、そして対中国の政治的軋轢から米国内での視聴は激減。過去20年のNBCの五輪中継で最低を記録しました。オリンピック独占中継権を$7.65B(1兆710億円)の巨額投資で2032年まで延長したNBCとしては、過去2回の低迷を経て、パリ大会では大きな成功を納めておきたいという強い思いがありました。

 

インフルエンサーの旅費や滞在費などは全てNBC持ち。あるインフルエンサーがBloomberg Mediaに語ったところによると、記者証によって米国内での予選からパリまで、あらゆる主要イベントに無料で入場できる代わりに、オリンピック予選中に動画を5本、予選終了からパリでの本大会までにさらに5本、そして現地パリでの開催中に15本の動画をソーシャルメディアで投稿するよう指示されたということです。これについては、NBCは明確なコメントを避けています。

 

招待されたうちの一人で、ライフスタイル・インフルエンサーのJasmine Nguyenは、アスリートのインタビューに加えて、パリのファッションをテーマにした動画を投稿したほか、TikTokの78万人以上いるフォロワー向けにオリンピックグッズの無料プレゼントを実施。リアルタイムでフォロワーから、「パリ五輪の何が知りたいか、何を見たいか」の希望や意見を募るなど、ソーシャルメディアでしかできないDTCアプローチを展開したということです。

 

さらに、TikTokで1420万人のフォロワーを持つファイナンシャル・インフルエンサー、通称Daniel Macも、オリンピックをお金という側面でレポート。代表予選の会場で体操選手に「オリンピック出場経費がいくらで、メダルを獲得した場合どのくらいのキャッシュバリューがあるか」などとインタビュー。パリ五輪が始まる前の投稿動画ですが、4万人以上が視聴するなど、五輪への注目度アップに貢献したようです。

 

ビッグイベントでのインフルエンサーの活用は広がっており、8月19日から4日間シカゴで開催された民主党全国大会でも、初めて党側がインフルエンサーを会場に招待しています。その規模は200人以上!これも目的は同じで、より多くの若者層に党大会を見てもらい、ひいてはより多くの若者に民主党候補に投票してもらうためです。民主党全国大会ではスマホ視聴用にバーティカル動画(縦長の動画)も撮影され、TikTokやインスタグラム、YouTubeでライブ配信されました。

 

インフルエンサー戦略は、これからのマーケティングには必須と言えそうです。

 

(参考リンク)

https://adage.com/article/special-report-olympics/paris-olympics-tv-viewership-306-million-viewers/2574876

https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-07-31/nbc-bets-on-social-media-influencers-to-draw-gen-z-to-the-games?srnd=undefined&sref=dZ65CIng

https://www.nbcnews.com/tech/internet/democrats-grant-special-convention-access-200-content-creators-rcna167272?

https://www.axios.com/2024/08/13/democratic-convention-streaming-tiktok-instagram?