新カレンシーについては、Nielsen ONEやJICなど、来年のクロスプラットフォーム測定を目指した動きが活発化していますが、今年のアップフロントでは、Nielsenが引き続き多くの取引で使用されたようです。
Digidayによれば、複数のエージェンシーの証言として、「今年のアップフロントまで代替カレンシーの議論は盛り上がったが、結局のところ昨年同様にNielsenの牙城を崩せなかった。」としています。不景気などの影響もあり、エージェンシーや広告主は、結局のところ慣れ親しんだNielsenのパネル方式から脱却できなかったようです。
Nielsen自体も、パネルのみの測定から、パネルプラスビッグデータ(スマートTVやサーバーログデータ)の方式に移行予定であり、この意味で来年は否が応でもパネル方式のNielsenデータでの取引は終わりを迎えます。
ただし、Nielsenは、今年のアップフロントでもビッグデータの統合を延期したように、計画を延期する可能性も残されています。新カレンシーをめぐっては、iSpotやVideoAmp、Comscoreなどの名前が上がっていますが、体力勝負となっている感は否めず、Nielsenが今後の動向は注目されます。
一方で、こうした取り組みについて、システム面での対応は進んできています。
新カレンシーがなかなか進まない理由の一つに、放送局とエージェンシーの取引のシステムがNielsenのカレンシーをベースに構築されているという問題があります。
こうした問題に取り組むべく、ParamountとOMG(Omnicom Media Group)は、Mediaoceanで、VideoAmpのデータを使用した取引のテストを始めました。従来のデモベースではなく、さらに詳細なデータを基にしたリニアTVバイイングを自動化するためのものです。
この取り組みにより、ParamountはMediaoceanにVideoAmpのアドバンストオーディエンスデータを使用したインサーションオーダー(発注書)に対するキャンペーンプランを送ることができるようになります。これまではNielsenの数値のみで可能であり、それ以外のカレンシーではエクセルでのやりとりなど、多くのマニュアルの作業が生じていました。
ParamountもOMGも新カレンシーの取引を増やしていくのは、このような自動化が必要だと話しています。
新カレンシーが採用されるには、これまでのエージェンシーのバイイング手法に合わせていく必要があります。例えば、多くのエージェンシーは、キャンペーンのプランニング、アクティベーション、レポーティングにMediaoceanを利用しており、MediaoceanでのフローでどのようにNielsen以外のカレンシーを組み込んでいくかは重要になります。放送局側には、彼らが使用するデータをMediaoceanのテックスタックに適切に組み込んでいく必要があります。
これまでは、MediaoceanのシステムがNielsenを基本として成り立っていたため、それ以外のカレンシーを使用する際には、Mediaoceanではないシステムを使って、メジャメントなどを行う必要があったと言います。それがようやくMediaoceanとのインテグレーションによって効率化されるというわけです。ParamountとMediaoceanは数ヶ月に亘り、テストを繰り返してきました。
MediaoceanはiSpotとComscoreについてもサポートしているそうですが、今回のParamountとOMGの取り組みは、VideoAmpのデータを、アドバンストオーディエンスのカレンシーとして使用することにのみ合意しているということです。
記事にはありませんが、ParamountはOperativeをリニアとデジタルの取引に利用しており、実際にはOperativeとMediaoceanの取引の自動化が進んでいるものと思われます。こちらも長年の取り組みですが、ようやくという感じですね。
https://www.adexchanger.com/ad-exchange-news/thursday-27072023/