ローカルテレビ局が来週に控えた大統領選挙などでの記録的な政治広告出稿に沸いています。 昨今ローカル市場でもデジタル広告の優勢が伝えられていますが、[…]
ローカルテレビ局、今年も選挙広告の恩恵
ローカルテレビ局が来週に控えた大統領選挙などでの記録的な政治広告出稿に沸いています。
昨今ローカル市場でもデジタル広告の優勢が伝えられていますが、有権者への説得力と効率的な広告バイイングという点で、ローカル放送は依然として有力な媒体です。
ストリーミングはニッチな有権者層をターゲットにしやすい一方で、大規模に有権者にアプローチするのはまだスケールが足りません。また、ローカル放送の広告規制により、低コストで広告が購入できたり、誤情報などを理由に広告がブロックされる事態をキャンペーン側が防ぐことができます(政治広告へのバイアスを防ぐためのようです)。
ローカルテレビ局は、2年に一度行われる議会選挙と4年に一度行われる大統領選挙の年に広告収入が跳ね上がります。特に今年は、競争の激しい議会選挙や接戦の大統領選挙、さらに州レベルでの住民投票が増加したことにより、ローカル局にとって広告収入が大幅に増加しています。
BIA Advisory Servicesによれば、2024年は$11.7B(1兆6380億円)の政治広告がローカル市場で費やされる見込みで、これは2020年から21.3%の増加となります。政治広告はローカル広告市場全体の約6.7%を占めることになります。
さらに、ローカル放送局は、今年“デジタル”政治広告として過去最高の$2.2B(3080億円)を売り上げると予想されています。これは、ウェブサイトや自社のストリーミングアプリなどのローカル局のデジタルプラットフォームの広告です。
もちろんローカル市場でのCTV広告も急成長をしており、BIAは今年、CTV広告に最低でも$2.6B(3640億円)が費やされると見込んでいます。
こうした状況で、各ローカル局グループも政治広告の恩恵を受けています。
ローカル放送局グループ大手の一つであるE.W. Scrippsは、モンタナ州やオハイオ州の上院選挙や複数の州で話題となっている住民投票のおかげで、2024年のローカル政治広告収入が過去最高水準に達すると見込んでいます。
Nexstarでは、第2四半期の政治広告が2020年の同期間と比べて倍増しました。最新の決算説明会でNexstarは、バイデン大統領からハリス副大統領への変更があったこともあり、両党の政治広告出稿を加速させたと分析しています。
ただし、いち視聴者としては、政治広告の多さに辟易とする時もあります。ローカル局の場合、広告費が高いキャンペーンがあれば、事前に予約している広告主より優先するという商流があるため、この時期は特に政治広告のオンパレードなります。来週決着の時を迎える選挙ですが、アメリカ人の選択の答えがいよいよ出ます(といっても終わってからも相当揉めそうですが…)。
(参考リンク)
https://www.axios.com/2024/10/29/political-ads-boost-local-tv