Paramount、Q3決算

ParamountのQ3決算は、テレビと映画部門が減収となった一方で、注力するDTC部門(ストリーミングを含む)は堅調となり、経営陣は成果を強調しました。売上は[…]

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ParamountのQ3決算は、テレビと映画部門が減収となった一方で、注力するDTC部門(ストリーミングを含む)は堅調となり、経営陣は成果を強調しました。売上は前年同期比6%減の$6.73B(9422億円)となり、調整後の一株あたりの利益は63%増の49セント、売上はアナリスト予想を下回ったものの、利益は上回り、まちまちの結果となりました。ただし、利益の源泉となったのは、米国の従業員の15%削減を含む年間$500M(700億円)というコスト削減のおかげであり、素直に喜べるものではありません。

 

 

DTC部門は、売上が10%増の$1.86B(2604億円)。調整後の利益は$49M(69億円)となり、2ヶ月連続で黒字を確保しています。売上の内訳は、サブスクリプション収入が7%増の$1.34B(1876億円)、Paramount+とPluto TVを合わせた広告収入は、18%増の$507M(710億円)となりました。

 

Paramount+の加入者はQ3で350万人追加し、7200万人となり、世界で4番目に大きいSVODサービスとなったと同社は発表しています。

 

テレビ部門は、売上が6%減の$4.3B(6020億円)。MVPDの加入者減でアフィリエイト収入は7%減、コンテンツの二次利用が鈍化し、ライセンス収入は12%減。テレビ広告は2%減の$1.67B(2338億円)となったものの、政治広告収入が減少幅を抑えた形となりました。テレビ部門は概ね不調ですが、ParamountはWBD同様にQ2でケーブルネットワークの大幅な減損を実施しています。

 

映画部門は、売上が34%減の$590M(826億円)、劇場収入は71%も減少しました。ただし調整後の利益は増加しています。

 

今回の決算でParamount Globalとしての四半期決算は最後になる見込み。規制当局の審査が終われば、2025年上半期にスカイダンスとの合併が完了する予定です。

 

(参考リンク)

https://ir.paramount.com/static-files/792e82ae-2d69-4979-8333-b79c88df48b3

https://deadline.com/2024/11/paramount-global-q3-revenues-fall-streaming-subs-grow-1236170759/

Fox、Q1決算

Foxの2025年度Q1(9 月30日締め)決算は、売上が前年同期比11%増の$3.56B(4,984億円)、純利益が前年同期の$415M(581億円)から$8[…]

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Foxの2025年度Q1(9 月30日締め)決算は、売上が前年同期比11%増の$3.56B(4,984億円)、純利益が前年同期の$415M(581億円)から$832M(1,164億8,000万円)に倍増する増収増益でした。純利益の大幅増は、主にスポーツ賭博会社FanDuelへの投資の簿価見直しを反映したものです。

 

 

調整後EBITDAは、増収分が経費増によって一部相殺されたものの、前年同期比21%増の$1.05B(1,470億円)でした。経費の増加は、FOX Sportsでの放映権料の増加とTubiでのコスト増が要因です。

 

売上の内訳は、最大のアフィリエイトフィーが6%増の$1.84B(2,576億円)。続けて広告がリニア(ケーブルと地上波の双方)とTubiの合計で11%増の$1.33B(1,862億円)、その他がスポーツサブライセンス収入の増加などにより47%増の$392M(548億8,000万円)でした。

 

広告の2ケタ台の増収は、Fox Television Stations(地上波テレビ局)での政治広告費の増加、Tubiの継続的な成長、Fox News Media(Fox News Channel、Fox Businessなど)のダイレクトレスポンス市場での視聴率と価格の上昇、そしてUEFA European Championship、CONMEBOL Copa AmericaなどFox Sportsでのサッカー中継が主な要因です。

 

セグメント別売上は、ケーブルネットワーク部門が15%増の$1.60B(2,240億円)。内訳は、広告が11%増の$321M(449億4,000万ドル)、アフィリエイトフィーが3%増の$1.04B(1,456億円)。Tubiを含むテレビ部門は10%増の$1.95B(2,730億円)で、内訳は広告が11%増の$1.01B(1,414億円)、アフィリエイトフィーが10%増の$806M(1,128億4,000万円)でした。

 

The cost to advertise in Super Bowl LIX remains consistent with recent years.
Credit: Fox Sports

 

Foxは決算発表後の会見で、来年2月9日に開催予定のスーパーボウルの広告在庫が完売したと発表しました。広告料金は非公開ですが、情報筋によると、30秒スポットの料金は直近3回と同程度の$7M(9億8,000万円)台だったそうです。ちなみにFoxがスーパーボウルを前回放送した2023年の広告売上はほぼ$600M(840億円)で、今年のParamount(CBS)はそれを超えたと報じられています。

 

トランプ大統領の誕生で、Fox Newsはさらに勢いを増していきそうですね。他社はどこもケーブル部門が重しですが、Foxだけは違う構造です。また、エンタメコンテンツを切り離して、スポーツとニュースに絞るという身軽な体制に数年かけて変革していた効果も出てきています。

 

(参考リンク)

https://investor.foxcorporation.com/static-files/ecfc2494-f40f-44e3-8ecd-d9e978a59622

https://www.mediapost.com/publications/article/400829/political-fuels-fox-11-q3-ad-gain.html

https://www.sportsbusinessjournal.com/Articles/2024/11/04/fox-super-bowl-ads

https://adage.com/article/special-report-super-bowl/why-super-bowl-commercial-pricing-may-have-peaked/2571946

Comcast、ケーブル資産の切り離しを模索

別記事で決算の数字をお届けしたComcastですが、傘下のケーブルネットワークのスピンオフを模索していると米メディアが報じています。Comcastは決算発表時に[…]

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別記事で決算の数字をお届けしたComcastですが、傘下のケーブルネットワークのスピンオフを模索していると米メディアが報じています。Comcastは決算発表時に、投資家に対して、NBCUのケーブルネットワークを切り離し、別の上場企業にする可能性を仄めかしました。Comcastが自由に配信のPeacock拡大に動けるようにすることが目的となります。

 

このスピンオフ計画に含まれるのは、ケーブルニュースのMSNBCほかCNBC、Oxygen、Bravo、USA Networkなどのケーブルチャンネル群です。地上波のNBCは含まれません。Comcastは「業界全体が直面しているように、動画ビジネスは変遷期にあり、Comcastもケーブル資産をどのように運営していくかを模索している最中」と述べています。

 

Comcastは、そもそもがMVPDという立ち位置であることや傘下に多くのケーブルネットワークを持っていることで、そのビジネスモデルは大きくケーブルのエコシステムに依存してきました。こうした結果、配信へと舵を切るタイミングが遅れ、その遅れは今でも尾を引いています。またHuluには初期の株主として入っていたものの、結果的にこれはDisneyが買収。Paramountとも配信事業の統合などが噂されていますが、こちらも実現には至っていません。

 

コードカットが進む昨今、Comcastのみならず、メディア企業はどこもリニア資産の切り離しを検討しています。しかし、今のところ実現には至っていません。というのも、コードカットにより視聴者数が大幅に減少してはいますが、今でもケーブルテレビは利益に貢献しており、配信でなかなか利益がでない状況では必要な事業だからです。Disney は昨年、傘下の地上波ABCを含むリニアテレビ資産の売却を仄めかしましたが、結局たち消えました。Warner Bros. Discoveryも、リニア資産と配信資産を切り離すことを模索しましたが、結局思いとどまっています。

 

とは言え、前回の決算でお伝えしたようにリニアネットワークの減損をせざるを得ない状況にまでなってきており、Comcastのみならずメディア企業各社の決断の時は迫ってきているように見えます。

 

(参考リンク)

https://www.axios.com/2024/10/31/comcast-explores-spinoff-of-cable-assets

Comcast、Q3決算

ComcastのQ3決算は、パリ夏季五輪関係がNBCUの増収とPeacockの加入者増に貢献し、売上・利益ともに市場の事前予測を上回りました。   売[…]

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ComcastのQ3決算は、パリ夏季五輪関係がNBCUの増収とPeacockの加入者増に貢献し、売上・利益ともに市場の事前予測を上回りました。

 

売上は、市場予測の$31.66B(4兆4,324億円)に対して前年同期比6.5%増の$32.07B(4兆4,898億円)、純利益は同10.3%減の$3.63B(5,082億円)、調整後EBITDAは同2.3%減の$9.74B(1兆3,636億円)。調整後1株あたり利益は、市場予測の$1.06(150円)に対して同3.3%増の$1.12(160円)でした。

 

メディア、テーマパーク、映画スタジオの各事業を含むContent & Experiences部門は、売上が19.3%増の$12.60B(1兆7,640億円)、調整後EBITDAはテーマパークとメディア事業の減収が響いて8.7%減の$1.80B(2,520億円)でした。

 

NBCUを主力とするメディア事業は、五輪効果で売上が$8.23B (1兆1,522億円)と前年同期から36.5%増えたものの、事業費(operating expenses)がそれを超える勢いで膨らみ、調整後EBITDAは10.1%減の$650M(910億円)でした。事業費の増加は、パリ五輪に関連したスポーツプログラミングコストの増加と、Peacockのプログラミングコストの増加、ネットワーク向けのその他プログラミングコストの増加によるものです。なお、パリ五輪関係の増収分$1.9B(2,660億円)を除いた売上は4.9%増でした。

 

メディア事業の売上の内訳は、広告売上(国内)が74.9%増の$3.35B(4,690億円)でした。パリ五輪とPeacock関係の増収分が、ネットワーク関係の減収を一部相殺したということです。ディストリビューション売上(国内)は26.3%増の$3.27B(4,578億円)でした。

 

NBCUniversal Peacock
Todd Williamson | Peacock | NBCUniversal | Getty Images

 

パリ五輪を独占配信したPeacockは、有料加入者数がQ3に300万人増加し、前年同期から29%増の3,600万人となりました。売上は82%増の$1.5B(2,100億円)、調整後EBTIDAは前年同期の$565M(791億円)から縮小して$436M(610億4,000万円)でした。

 

その他、映画スタジオ事業は「Despicable Me 4」「Twisters」などの新作映画が好調で、売上が12.3%増の$2.83B(3,962億円)、調整後EBITDAが9.0%増の$486M(680億4,000万円)。テーマパーク事業は、来場者数減が響いて売上が5.3%減の$2.29B(3,206億円)、調整後EBITDAは13.8%減の$847M(1,185億8,000万円)でした。

 

Connectivity & Platforms部門は、売上が前年同期比0.4%減の$20.29B(2兆8,406億円)、調整後EBITDAが0.7%減の$8.30B(1兆1,620億円)と、いずれも前年同期比横ばいでした。

 

そのうちロードバンドサービス(国内)は、加入者数が8万7,000人減の3,200万人。低所得世帯に割引を提供するFCCのプログラム「Affordable Connectivity Program (ACP)」がQ2に終了したことによる影響を除くと、9,000人増と見積もっています。加入者数は減りましたが、顧客あたり平均売上が増えて売上(法人向けを除く。以下同じ)は2.7%増の$6.5B(9,100億円)でした。ワイヤレスサービス(国内)の加入者数は前年同期比20%増の751万人(ライン)、売上は加入者増とデバイスの売上増を反映して19.2%増の$1.1B(1,540億円)でした。

 

一方、動画(CATV)サービス(国内)の加入者数はQ3だけで36万5,000人減って合計1,283万人。政治広告が増えて広告売上は増加したものの、全体の売上は6.8%減の$6.7B(9,380億円)に留まりました。

 

(参考リンク)

https://www.cmcsa.com/news-releases/news-release-details/comcast-reports-3rd-quarter-2024-results

https://www.cnbc.com/2024/10/31/comcast-cmcsa-earnings-q3-2024.html

 

メディア大手6社、世界のエンタメコンテンツ投資額の半数超え

世界の6大コンテンツプロバイダーがコンテンツへの投資を引き続き強化しています。テレビや映画などコンテンツへのコスト削減圧力が高まる中、Ampere Analys[…]

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世界の6大コンテンツプロバイダーがコンテンツへの投資を引き続き強化しています。テレビや映画などコンテンツへのコスト削減圧力が高まる中、Ampere Analysisは6大プロバイダーのコンテンツ投資総額が2024年、前年同期比9%増の$126B(17兆6,400億円)に達するとの調査結果を発表しました。この額は世界のエンタメコンテンツ投資額の51%に相当し、2020年の47%、2023年の48%から増えて初めて半数を超える見通しです。

 

これはAmpereが各社の発表資料などをもとに、Disney、Comcast、Google、WBD、Netflix、Paramountのコンテンツ投資額を推定したものです。それによると、企業別で投資額が最も多いのはDisneyで、オリジナル作品と第三者から取得したコンテンツへの投資額は2023年の$28.3B(3兆9,620億円)から2024年は$35.8B(5兆120億円)に増え、世界のテレビ・映画コンテンツ投資額の14%を占める見通しです。Disneyは年初にHuluを完全取得しており、それにより$9B(1兆2,600億円)が上乗せされました。

 

第2位はComcast(NBCU)で、Disneyより$11B(1兆5,400億円)超少ない$24.5B(3兆4,300億円)。さらに$7B(9,800億円)ほど減って第3位はGoogleで$17.6B(2兆4,640億円)。これにWBDが$16.8B(2兆3,520億円)、Netflixが$16.0B(2兆2,400億円)、Paramount Globalが$15.1B(2兆1,140億円)と続きます。Googleは主にYouTube経由でコンテンツ市場に投資しており、コンテンツクリエイターと収益分配契約を結んでいます。

 

投資対象として最も大きいのはオリジナルコンテンツです。総投資額の約45%にあたる$56B(7兆8,400億円)がオリジナル作品、残り55%がコンテンツ取得に当てられるとAmpereは見積もっています。

 

ストリーミングコンテンツに限ると、投資額で世界最大はNetflixです。同社はコロナ禍以降、オリジナル作品とコンテンツ取得に合計で年間平均$14.5B(2兆300億円)を投資しています。視聴者のリニア離れでストリーミングサービスの重要性はますます高まっており、$126B(17兆6,400億円)のうち32%($40B=5兆6,000億円)は、Disney+、Peacock、Paramount+、Maxなど、上位6社が展開するサブスク型ストリーミングサービスへの投資でした。

 

Ampereは今後について、これら上位6社が引き続きコンテンツ投資の大部分を占めるものの、全体的な伸びは頭打ちになると予測。制作するコンテンツの量を減らし、戦略的投資と収益性を優先するなどの動きが起きる可能性があるとしています。

 

(参考リンク)

https://www.ampereanalysis.com/press/release/dl/major-milestone-top-six-global-content-providers-account-for-more-than-half-of-all-spend

https://www.mediapost.com/publications/article/400667/big-6-content-spending-rises-9-to-126b.html

Nielsen、Amazonストリーミングデータのパネルへの統合でMRC認定

Nielsenは、ネットワークのファーストパーティデータやストリーミングデータを全国パネルベースのテレビ測定に統合することに関して、MRCから認可を得られたと発[…]

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Nielsenは、ネットワークのファーストパーティデータやストリーミングデータを全国パネルベースのテレビ測定に統合することに関して、MRCから認可を得られたと発表しました。これは更新されたNielsenへのMRC認定の一部となります。

 

Amazon PrimeのThursday Night Footballのカレンシー測定にはただちにこのデータが反映されます。こちらでもお伝えしていますが、Amazonのファーストパーティーデータを全国テレビ測定に統合する計画をNielsenは発表しましたが、ネットワークから激しい批判を受けて、これを取り下げていました。またそれを受けて、MRCでも昨年は投票を見送っていました。

 

ただ、Nielsenはその後も本件のMRC認定の獲得に動いており、市場にはAmazonのファーストパーティーデータを反映した数値の提供も続けていました。

 

今回の認定獲得は、Amazonのみならず他のネットワークからのファーストパーティーデータをNielsenのパネル測定に統合する可能性にも道を開くことになります。

 

MRCは「一般的な方法論や仕組みは、他のストリーミング事業のデータを活用する際に再審査の必要はないが、統合の詳細(Nielsen独自の認証プロセスやデータマッピング、データフロー)はMRCが確認する必要がある。ただしプロセスはより簡易になるだろう」としています。

 

Nielsenは、MRCの認定により「個人レベルで測定が可能な初のライブストリーミングソリューション」だとしています。

 

Comscoreは今年初めに、セットトップボックスやスマートTVデータに基づいた世帯レベルでの測定に関してMRCの認定を受けましたが、最近特許を取得したシステムを活用した個人レベルの視聴者推定に関する認定は現在もMRCの審査中です。

 

VideoAmp、iSpot、Comscoreもネットワークからのファーストパーティーストリーミングデータを測定に組み込んでいますが、MRCの認定は取れていません。

 

ストリーミング視聴は分散が進んでいるため、Nielsenの41000世帯のパネルだけでは正確な測定はできず、Nielsenはファーストパーティデータの統合に取り組んでいます。

 

昨年のTVネットワークやAmazon以外のストリーミングサービスからの反発の多くは、Nielsenのパネルにファーストパーティデータを統合することに対し、他のネットワークが平等に統合の機会を得られなかったというものでした。しかし、その後、Nielsenは他のネットワークとも統合に関して進展を見せており、この点は解決が進んでいると言えそうです。

Nielsenのパネル測定に関する認定の更新に関しては、一部のMRCメンバーから異議は出されたものの、認定は無事に得られました。MRCはNielsenのビッグデータ+パネル測定に関しても認定作業を進めているとしています。

 

(参考リンク)

https://adage.com/article/ad-measurement/nielsen-amazon-get-mrc-approval-integrate-first-party-streaming-data-ratings/2590056

Roku、Q3決算

RokuのQ3決算。売上は前年同期比16%増の$1.06B(1,484億円)、1株あたり赤字額は前年同期の$2.33(300円)から$0.06(8円)に縮小し、[…]

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RokuのQ3決算。売上は前年同期比16%増の$1.06B(1,484億円)、1株あたり赤字額は前年同期の$2.33(300円)から$0.06(8円)に縮小し、いずれも市場予測を上回りました。四半期売上が$1B(1,400億円)を超えたのは当期が初めてです。

 

広告とコンテンツ販売、サブスク収入を含むプラットフォーム事業の売上は15%増の$908M(1,271億円)、デバイス事業の売上は23%増の$154M(215億6,000万円)でした。広告だけの売上は非公開です。

 

ストリーミング世帯数(加入世帯数)は、Q2比で200万件増、前年同期比で13%増の8,550万世帯でした。

 

Rokuは、2025年Q1の決算報告から世帯数の定期的な公表は見送り、1億世帯到達など主要なマイルストーン達成時にのみ開示する方針を示しました。向こう12~18カ月以内の1億件達成を見込みます。ユーザーあたり平均売上(ARPU)も、これまでのように四半期ごとの更新は行わないということです。

 

今後はストリーミング時間、プラットフォーム事業の売上、調整済EBITDA、フリーキャッシュフローを主要なパフォーマンスメトリクスとして重視するということです。Netflixも四半期ごとの加入者数の報告はやめる方針を明らかにしています。(この変更によりRokuの株価は一時的に大きく値下げました)

 

Q3のストリーミング時間は前年同期比20%増、Q2の301時間からは微増の320億時間でした。1世帯当たりの 1 日平均ストリーミング時間は4.1 時間で、前年同期の 3.9 時間から増加しました。

 

Roku チャンネルの視聴時間は前年同期比で 80% 増加し、Nielsenの「The Gauge」ランキングによると、8月の全テレビストリーミング時間の4.1%を占め、過去最高を記録しました。MLB中継とNFLがQ3の主な集客力になったということです。

 

Q4については、売上は前年同期比16%増の$1.14B(1,596億円)、うちプラットフォーム事業の売上が14%増、デバイス事業の売上が25%増と予測しています。

 

(参考リンク)

https://image.roku.com/c3VwcG9ydC1B/3Q24-Shareholder-Letter.pdf

https://variety.com/2024/digital/news/roku-q3-2024-earnings-beat-streaming-households-metric-1236195336/

https://deadline.com/2024/10/roku-q3-first-billion-dollar-revenue-streaming-1236162524/

 

ワールドシリーズ、日米で2800万人が視聴

LA Dodgers対NY YankeesのMLBワールドシリーズは、日本でも盛り上がったようですが、全米でも大いに沸きました。全米最大の市場であるニューヨーク[…]

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LA Dodgers対NY YankeesのMLBワールドシリーズは、日本でも盛り上がったようですが、全米でも大いに沸きました。全米最大の市場であるニューヨークとロサンゼルスの、それぞれ伝統ある両チームによるワールドシリーズでの顔合わせは、1981年以来初めて。しかもDodgersの大谷翔平、Mookie Betts、YankeesのAaron Judge、Juan Sotoと、スター選手目白押しで、ファンにとっては夢の顔合わせとなりました。

 

米国ではFOXが独占中継し、始まる前から期待が寄せられていましたが、その期待を裏切らない結果となりました。FOXの全プラットフォーム(FOX、Fox Deportes、FuboTV、Fox Sportsアプリ、FoxSports.com)で、5試合平均の視聴者数が1580万人となり、2023年のArizona Diamondbacks対Texas Rangersのワールドシリーズ(シリーズ史上最低の平均911万人)から67%増となりました。

 

 

さらに、大谷効果で日本でも平均1210万人が視聴し、日米を合わせると平均約2800万人が視聴したことになり、米国でもこの日本のファンの存在は大きく報道されました。特に最初の2試合の平均は日米合わせて2970万人。日本の平均は1590万人で、日本で視聴されたMLBワールドシリーズで過去最高の視聴者数となりました。

 

歴史的に、この巨大市場2チームの対戦は注目度が高く、1970年代後半は全米で4400万人以上が視聴していたそうです。近年はケーブルと配信で視聴者が散らばり、NFLにも押されていたMLBですが、今年は両リーグでのポストシーズンが2009年以来最高の視聴者数を上げ、ワールドシリーズも大成功で終えました。MLBグッズの売上も、昨年のシリーズから68%増となりました。

 

大谷、Judgeほか大スターの存在と、ピッチャーの投球までの時間制限ほかルール変更を加えたことで、長いと酷評されてきた試合もコンパクトになり、見やすくなったことが、若い視聴者を惹きつけと言われています。2019年から18〜34歳の視聴者が39%増、チケット購入者の中間年齢も51歳から46歳に若返ったそうです。そして今回の記録的な視聴者数は広告主にも恩恵をもたらしました。

 

Adageによると、広告にMLBのマークを使える公式パートナーが、MLBには37ブランドあります。リーグとMLB Players Associationとの間で昨年、広告に選手が起用されやすいよう契約内容に変更が加えられました。野球のシーズンは長く、ほぼ毎日試合があるため、母の日や父の日、バック・トゥー・スクールのイベントなど、シーズンごとに広告主は様々なキャンペーンを展開をすることが可能です。中でも5つのブランドが、MLBとのパートナーシップで大きな恩恵を受けたそうです。

 

 

一つ目はドイツの作業服メーカー「Strauss」。工事現場で使うヘルメットや保護靴などのメーカーです。今年9月にMLBとスポンサー契約を結んだそうですが、今回のワールドシリーズでもバッターボックスに立つ選手がかぶる全てのヘルメットに、大きな「Strauss」の文字が掲載されました。このヘルメットはポストシーズンから採用されています。

 

二つ目はビールブランド「Corona」。2022年からMLBの“official cerveza”です。Cervezaはスペイン語でビールの意味。MLBの公式ビールはバドワイザーですが、それとは別枠で、ヒスパニック系選手が多い野球で“official cerveza”となっているそうです。さらに、今回はニューヨークとロサンゼルスという大都市チームの対戦で、両都市ともCorona消費量で全米1、2を争う市場ということもあり、このシリーズでは両方のスタジアムでCoronaのディスプレーが満載だったそうです。来シーズンではテレビ広告も狙っているということです。

 

 

3つ目は金融機関の「Capital One」。MLBのスポンサー3年目。ワールドシリーズの提供スポンサーとして、テレビ画面にも「Capital One」の名前がたびたび映りました。夏のオールスターのスポンサーでもあり、さらには慈善事業や日頃の行いが優秀な選手に毎年贈られるRoberto Clemente Awardのスポンサーでもあります。MLBとの提携を利用し、クレジットカードの顧客やVIPなどにMLB関連の特典をつけるなどしています。

 

 

4つ目はスポーツブランドの「New Balance」。大谷翔平を起用したCMがワールドシリーズ中にFOXで何度も流れました。大谷のスターパワーでブランドのイメージアップに大きくつながったと言われています。

 

 

最後に、ホテルやレンタカーなど旅行の予約サイト「Booking.com」。野球の長いシーズンは、夏のバケーションシーズンと重なることから、ここ2年間MLBとパートナー契約をしています。「チームが嫌いだからって、そのチームの地元まで嫌うことはない」というメッセージで、今回のワールドシリーズでは、ボストンを訪れるヤンキースファンをイジる愉快なCMを展開しました。

 

(参考リンク)

https://en.as.com/mlb/2024-mlb-world-series-television-ratings-record-viewership-in-the-us-and-abroad-n/

https://adage.com/article/marketing-news-strategy/mlb-marketing-bookingcom-capital-one-corona-new-balance-strauss/2589721

Alphabet、Q3決算、YouTube広告売上は12%増

AlphabetのQ3決算から。YouTubeの広告売上は前年同期比12.2%増の$8.92B(1兆2,488億円)で、市場の事前予測を上回りました。選挙関連の[…]

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AlphabetのQ3決算から。YouTubeの広告売上は前年同期比12.2%増の$8.92B(1兆2,488億円)で、市場の事前予測を上回りました。選挙関連の広告出稿が活発で増収をけん引しました。

 

YouTube CEO Neal Mohan at the 2024 YouTube Brandcast event in New York City (Noam Galai/Getty Images for YouTube)

 

AlphabetとGoogleのCEO、Sundar Pichaiによると、広告売上にサブスク収入を加えたYouTube全体の売上は、過去4四半期の合計で初めて$50B(7兆円)を超えました。YouTube TV、YouTube Music Premium、NFL Sunday Ticketがサブスク収入の成長をけん引したということです。AlphabetはYouTubeの四半期売上を報告していませんが、この12カ月は四半期あたり平均$12.5B(1兆7,500億円)以上だったことになります。

 

YouTubeの広告事業は見通しも良好のようです。GoogleのChief Business Officer、Philipp Schindlerは決算発表後の会見で、今年のアップフロントの広告契約額が前年比20%増だったと明らかにしました。同氏によると、YouTubeでの2024年パリ夏季五輪コンテンツのユニーク視聴者数は8億5,000万人、視聴回数は120億回に達し、視聴時間の35%はテレビ画面経由だったということです。

 

既報の通り、YouTubeはコンテンツ強化のためクリエイター向け支援の拡充を進めています。最近では10月初め、YouTube Shorts動画の長さの上限を従来の60秒から3分に延長すると発表しました。この変更はクリエイターから最もリクエストが多かったものだそうです。年内にはGoogle DeepMindの生成AI動画モデル「Veo」のYouTube Shortsへの統合も始まる予定です。

 

Alphabet全体では、売上は15%増の$88.27B(12兆3,578億円)、純利益は34%増の$26.3B(3兆6,820億円)で、いずれも市場予測を超えました。YouTubeを含むGoogleの広告売上は、主力の検索広告が12%増の$49.4B(6兆9,160億円)、全体では10.6%増の$65.9B(9兆2,260億円)でした。

 

各社の決算発表が続いていますが、AlphabetとAmazonは市場予想を超え、株価は上昇、Microsoftは好決算だったもののAIへの期待が薄れ下落、Appleも市場予想は超えましたが中国問題が不安視され下落しています。

 

(参考リンク)

https://abc.xyz/assets/71/a5/78197a7540c987f13d247728a371/2024q3-alphabet-earnings-release.pdf

https://blog.google/inside-google/message-ceo/alphabet-earnings-q3-2024/#full-stack-approach

https://variety.com/2024/digital/news/youtube-q3-2024-advertising-revenue-growth-1236193926/

https://www.mediapost.com/publications/article/400669/google-reports-66b-in-quarterly-ad-revenue-50b.html?edition=136194

Disney、2027年からグラミー賞を中継

グラミー賞の中継はこれまでCBSで独占中継されてきましたが、2027年からABCで中継されることが決まりました。WSJによると、ABCの親会社Disneyが20[…]

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グラミー賞の中継はこれまでCBSで独占中継されてきましたが、2027年からABCで中継されることが決まりました。WSJによると、ABCの親会社Disneyが2027年から2036年までの10年間で、Recording Academyに$500M(700億円)を支払うことで合意したということです。これは現在CBSが支払っている金額(1年分$50M=70億円)とほぼ同じだとされます。2027年からグラミー賞授賞式は、ABCと配信のHulu、Disney+で独占放送・配信されます。契約の一環として、Recording Academyがグラミーブランドの音楽特番やその他の音楽番組をDisney向けに制作し、Disneyの全プラットフォームで放送・配信することも決まっています。

 

 

CBSのグラミー賞授賞式中継は1973年から始まり、最終年の2026年を含めると54年という歴史があります。放送業界においては記録的なロングランですが、今回契約を更新することができませんでした。そのチャンスをDisneyがつかみ、CBSの記録に終止符を打つことになりました。

 

これにより、エンタメ業界の4大受賞式のうちグラミーとアカデミーというメジャーの2つをABCが獲得することになります。CBSに残されたのはトニー賞のみ。エミー賞は4大ネットワークが毎年交代で中継しています。ABCはグラミー、アカデミーのほか、カントリーミュージックアワードの中継権も持っています。グラミー賞中継初年度2027年のABCは、これらエンタメライブ中継に加えて、NFL Super Bowl LXIの中継も行うので、ライブイベント目白押しとなります。

 

地上波ABCに加えてHuluとDisney+でも同時配信されるのはグラミー賞だけで、アカデミー賞は現行のABCとの契約(2016年から2028年)では、配信は含まれていません。2029年以降の中継権契約には同時配信が追加されることが予想されます。エミー賞も同じで、4大地上波局との2026年までの交替中継契約には配信が含まれていませんが、新規契約から含まれることになると予想されています。

 

近年、エンタメ、スポーツのライブイベント中継は、まとまった視聴者を確保できるという点でテレビ局と配信サービスにとって極めて重要な位置を占めるようになりました。Disneyも「ライブイベントは放送業界にとってこれまで以上に重要な存在。今回4大授賞式の一つを追加することにより、ABCのライブ中継がさらに充実する」と話しています。

 

グラミー賞を失うことは、CBSにとっては痛手です。業界きってのロングラン記録が途絶えることもですが、アワード賞中継の視聴者数が近年減少傾向にある中で、グラミー賞だけは毎回大規模な視聴を獲得していました。今年2月のグラミー賞も視聴者数1700万人で、前年比34%増(Nielsen)でした。

 

CBSの親会社Paramount Globalは今、Skydance Mediaに合併吸収される過渡期にあり、規制当局の認可を待つ間にも人員整理やその他ニュースやエンタメの経費削減が進められています。CBSの現経営陣はこうした不確定要素の中、さまざまな決断を下せない状況にあるということです。Nielsenとの決裂もこうしたマネジメントの問題が影響しているようですね。

 

(参考リンク)

https://www.wsj.com/business/media/disney-to-pay-more-than-500-million-to-air-the-grammys-820a3855?

https://www.thewrap.com/the-grammys-move-cbs-disney-2027-streaming/?