ESPN、生成AIアバターの番組内活用をテスト

ESPNは今年で4回目を迎えたスポーツメディアテックに関する年次会議「ESPN Edge Innovation Conference」 において、生成AIアバタ[…]

Read More

ESPNは今年で4回目を迎えたスポーツメディアテックに関する年次会議「ESPN Edge Innovation Conference」 において、生成AIアバターの「FACTS」を発表しました。現在も開発段階にあるFACTSはカレッジフットボールの番組「SEC Nation」でテストが始まったところで、アバターが実際に番組に登場するタイミングは未定ということです。

 

Meet FACTS, a Generative AI Avatar in development with SEC Nation. FACTS will be promoting education and fun around sports analytics. (ESPN EDGE)

 

ESPNはFACTSとして若い男性のアバターを披露しており、会場で実演はなかったのですが、物知りの専門家と話しているときのようにフットボールに関する質問に答えたり、うんちくも交えつつ楽しみ方を教えてくれたりするようです。ESPNは今秋からウェブサイト用に試合のリキャップをAIで作成していますが、FACTSは視聴者にフットボールについてより深く知ってもらうことでエンゲージメントを高め、新規オーディエンスにもリーチするAIの新たな可能性を模索する試みとなります。

 

SEC Nationでのテストでは、試合前のディスカッション用にFACTSが試合やフットボールに関するデータやインサイトを提供するそうです。(これまで言うアナリストデスクの代わりという感じでしょうか)

 

FACTSでは、チーム力を基に試合結果やシーズンの成績を予測するESPN独自のレーティングシステム「Football Power Index」、プレイヤーとチームの統計データ、試合スケジュールなどのデータを統合した「ESPN Analytics」を使って回答を生成します。ESPNは、NvidiaのACE(Avatar Cloud Engine)、Azure OpenAI、ElevenLabsの音声合成技術を使ってFACTSを開発したということです。

 

AI活用をめぐっては、雇用喪失を引き起こすという根深い懸念もありますが、SEC Network/ESPNのCoordinating Producer、Baron Millerは「FACTSはジャーナリストやタレントに取って代わることを意図しているのか?」という質問に、その可能性を強く否定。FACTSの位置づけを「インサイトを提供し、ジャーナリストやタレントを補完する」と説明しています。

 

(参考リンク)

https://www.espnfrontrow.com/2024/11/generative-ai-avatar-facts-announced-at-4th-annual-espn-edge-conference/

https://www.theverge.com/2024/11/15/24297606/espn-generative-ai-avatar-facts

 

 

OOH広告、前年比で順調に成長

ビルボードなどの屋外広告(out-of-home、OOH)への支出額が、24年Q3(7〜9月)は$2.04B(2856億円)となり、Q3では史上最高を記録した前[…]

Read More

ビルボードなどの屋外広告(out-of-home、OOH)への支出額が、24年Q3(7〜9月)は$2.04B(2856億円)となり、Q3では史上最高を記録した前年からさらに4.3%増という成長を見せています。米国の業界団体、Out of Home Advertising Association of America (OAAA)が11月末に発表したもので、2024年Q1〜3における平均の成長率は4.6%となります。

 

 

OAAAによると、この記録的な成長の大きな要因の一つは、OOH広告のデジタルフォーマットへの対応です。Q3のデジタル広告のOOH売上に占める割合は1/3となり、前年同期比で7.3%増となりました。OAAAは「デジタルはOOH広告最大の成長要因であり、これからもこの傾向は続くだろう。」とし、2024年はDOOH広告をプログラマティックで購入する割合は、1/4となり、2年前の2倍になる見込みです。

 

またコロナ禍が終わり、自宅勤務からオフィス勤務に戻りつつある中で通勤する人が増えたこともOOH広告の需要を押し上げました。Q3のOOH広告の交通機関カテゴリー(タクシーや空港、電車など)は、前年同期比で8.3%増となっており、OOH広告のどのカテゴリーよりも大きな成長率となりました。「2024年の車での移動距離は2019年よりも伸びている」としています。

 

政治広告もQ3のOOH成長を押し上げました。OOH広告全体の1%に満たないとはいえ、前回の大統領選挙年(2020年)のQ3と比較すると31.6%増を記録しています。内訳は、特定の政治問題を扱う広告で60.7%増、上院・下院選挙で184.3%増、大統領選挙で4075.8%増となっています。

 

OOH広告支出のQ3におけるトップ企業は、McDonald’s、Apple、Verizon、Amazon、Anheuser-Buschでした。また、トップ100ブランドのうち半数以上が、前年同期よりもOOH支出を増額していることも指摘しています。Meta、Nike、Nestle、Walmart、Johnson & Johnsonなどを含む約12ブランドは、前年同期の2倍以上をOOH広告に支出しています。「幅広い業界のトップブランドとIT大手からの支出が増大していることが、新時代のマーケティング戦略におけるOOHの立ち位置を示している」とOAAAは話しています。

 

OOH広告のデジタル化は長年かけて進められていますが、プログラマティックでの購入などバイイングの平易化やオムニチャンネルマーケティングの浸透もあり、出稿が伸びてきているということでしょうか。興味深いデータですね。

 

(参考リンク)

https://www.adweek.com/media/out-of-home-advertising-had-another-record-breaking-quarter/

Amazon、AI開発でAnthropicに追加投資

テック大手によるAI開発競争が加熱しています。AmazonはAIスタートアップのAnthropicに$4B(5,600億円)を追加投資すると発表しました。Ama[…]

Read More

テック大手によるAI開発競争が加熱しています。AmazonはAIスタートアップのAnthropicに$4B(5,600億円)を追加投資すると発表しました。AmazonはAnthropicの少数株主ですが、これにより昨年来の累計投資額は$8B(1兆1,200億円)に倍増します。

 

 

Anthropicは、Microsoftが投資するOpenAIの対話型AIサービス「ChatGPT」に対抗するAIアシスタント「Claude」の開発会社です。AnthropicとAmazonは昨年9月、AnthropicがAWSを「主要なクラウドプロバイダー」とし、Amazonが同社に$4B(5,600億円)を出資する戦略的提携を発表しました。Anthropicは今回の取引でAmazonのAWS部門を「主要なトレーニングパートナー」に追加指名し、今後の「大規模基盤モデル」のトレーニングと展開にAmazonのAI半導体「Trainium」を利用するということです。

 

両社はTrainiumのハードウェアとソフトウェアの継続的な機能向上のため、緊密に協力していくことでも合意。また、AWSの顧客は所有するデータをファインチューニングできるなど、「新しい Claude モデルで一定期間、モデルごとにカスタマイゼーションが可能になる」としています。

 

両社はAWSのクラウド経由でAnthropicのモデルを利用している顧客の例として、PGA Tour、Perplexity、T-Mobileなど多くの企業を挙げています。

 

Amazon、Microsoft、Googleなどテック大手は、ChatGPTの進化形を求めてAIスタートアップに資金を投じています。エンタメや広告・マーケティング業界でもAIの導入は広がっていますが、AIのトレーニングに著作権で保護された作品を使用することの合法性をめぐる議論はいまも続いており、Anthropicも著作権者から訴えられています。

 

AmazonはAI搭載製品を相次ぎ投入しており、たとえば動画分野では、Prime Video用にAIでリキャップを作成しています。

 

Microsoft-OpenAI、Amazon-Anthropic、Google-Gemini、Meta-Meta AI (Llama)、X-xAIという感じで陣営が分かれてきました。当初予想されたように大手ITテックがAIの開発・実用化を主導する形となっています。

 

(参考リンク)

https://www.aboutamazon.com/news/aws/amazon-invests-additional-4-billion-anthropic-ai

https://www.hollywoodreporter.com/business/digital/amazon-invests-ai-firm-anthropic-4b-1236069439/

 

 

アテンション指標はカレンシーとなり得るか

アテンション計測大手のAdelaideは、「Business of Attention」というイベントをNYCで開催し、アテンション計測の現状を参加者が議論しま[…]

Read More

アテンション計測大手のAdelaideは、「Business of Attention」というイベントをNYCで開催し、アテンション計測の現状を参加者が議論しました。

 

アテンションをカレンシーとして採用しようという動きは引き続き続いており、一部のパブリッシャーは、在庫に対して最低限のアテンションを保証する試みも始まっています。

 

パブリッシャーのアテンション指標活用として、WSJは、大統領選挙前でニュース記事に対して広告出稿を慎重になっていた広告主に対して、アテンションを保証することで広告出稿を獲得しました。「我々は、選挙期間中のアテンションの高さに自信があり、それがキャンペーンの効果を高めることも確信していた。アテンションのベンチマーク達成を保証し、できなければ保証を約束することで、広告主を回帰させた。」とアテンション指標を活用したWSJの戦略を明かしました。

 

 

プログラマティック環境では、現状では、在庫の価格設定とアテンションスコアが必ずしも相関しておらず、アテンションを用いるバイヤーやリセラーにとてはアービトラージの機会にもなっていると言います。

 

LinkedInは「我々が購入する在庫の価格には、まだアテンションが反映されていないことが多い。」とし、場合によっては、高アテンション在庫が低アテンション在庫よりも低いCPMで販売されていることもあるそうで、LinkedInではDV360と連携して、カスタムビディングアルゴリズムを作成し、低アテンション在庫を排除し、高アテンション在庫にフォーカスすることでLinkedInのROAS目標を達成できたという事例を紹介しました。

 

プログラマティックの問題点として、SSPはビッドリクエストにアテンション指標を加えているものの、多くのDSPではこれらのシグナルを基にビッドを行える体制が整っていないことも要因としてあるようです。

 

また、アテンションをカレンシーとして採用していくには、プラットフォームや指標全体の標準化が必要という声もありますが、「ビューアビリティ同様に、標準化は形骸化してしまい、結局、広告主やクライアントごとのアテンションの定義(時間やアテンションが持つ意味、ファネルごとの定義など)に落ち着くのではないか」という指摘もあります。

 

アテンションへの注目は徐々に高まっており、ベリフィケーションベンダーであるIASやDouble Verifyもアテンション計測には力を入れています。業界ではDouble VerifyがLumen Researchを買収するという噂も流れています。

 

(参考リンク)

https://www.adexchanger.com/programmatic/early-adopters-are-snapping-up-attention-based-inventory-before-everyone-else-drives-up-the-costs/

https://www.adexchanger.com/platforms/rumor-doubleverify-is-interested-in-acquiring-lumen-research/

WBとCJ ENM、英語・韓国版制作・配給で提携

Warner Bros. Motion Picture Groupが、オスカー受賞作「Parasite(パラサイト 半地下の家族)」(2019年)を制作した韓国[…]

Read More

Warner Bros. Motion Picture Groupが、オスカー受賞作「Parasite(パラサイト 半地下の家族)」(2019年)を制作した韓国の制作スタジオCJ ENMと提携したと発表しました。今後Warner Bros.とCJ ENMが、それぞれが制作する映画作品の英語版と韓国語版のリメーク制作・ファイナンス・配給を手掛けていくということです。

 

Warner Bros. Motion Picture Groupを構成するのは、Warner Bros. Pictures、New Line Cinema、Warner Bros. Pictures Animation。いずれもWarner Bros. Discovery(WBD)の子会社です。Warner Bros.作品は、古くは「Casablanca(カサブランカ)」(1942年)、「A Streetcar Named Desire(欲望という名の電車)」(1951年)、「Rebel Without a Cause(理由なき反抗)」(1955年)から、近年の「Harry Potter」シリーズ、「Barbie」(2023年)まで、その映画タイトルは1万2500本以上。CJ ENMは「Parasite(パラサイト 半地下の家族)」の他に、「Past Lives(パスト・ライブズ/再開)」(2024年)、「The Handmaiden(お嬢さん)」(2016年)などのヒット作品で知られています。

 

 

この提携により、Warner Bros. Motion Picture Groupが過去から現在までのCJ ENM作品の英語版リメークを、CJ ENMが同じく過去から現在までのWarner Bros.作品の韓国版リメークを制作していきます。脚本家や監督、プロデューサー選びからキャスト選び、予算に至るまで、あらゆるクリエーティブ面で相互協力するということです。双方の全リメーク作品のグローバル配給はWarner Bros. Picturesが行いますが、韓国、ベトナム、インドネシア、トルコのみ、配給はCJ ENMが担当します。

 

Warner Bros. Motion Picture Groupの共同チェアマン兼CEOのMichael De Luca とPam Abdyは「CJ ENMは数多くの優れた作品群とグローバルオーディエンスを誇り、副会長Miky Leeは韓国映画界のパワーハウス・プロデューサーとなっている。CJ ENMと提携し、新たなWarner Bros. Motion Picture Group作品を世界市場に提供していきたい」と話しています。

 

CJ ENM映画事業担当役員のJerry Kyoungboum Koも「Warner Bros.はハリウッドの古今名作を揃えている。Warner Bros.もCJも、それぞれの市場で実績を上げてきた。2社のコラボレーションにより、現代のオーディエンス向けに新たな側面から作品を高いレベルで生き返らせることができる」といったコメントを出しています。

 

人気IPのリメイクというのはかつてからある話ですが、Warner Bros.とCJ ENMという二社の提携には期待感が高まります。韓流コンテンツはNetflixから火がつきましたが一過性で終わらずに米国でもその地位を築きつつあります。米国で知名度のあるWarner Bros.の作品をCJ ENMがリメイクするとなれば、注目も高まりそうです。

 

(参考リンク)

https://variety.com/2024/film/news/warner-bros-parasite-cj-emn-english-korean-remakes-1236214344/

WBDとNBA、中継権めぐる訴訟で和解

Warner Bros. Discoveryは、NBAに対する契約違反訴訟で和解しました。WBDは過去40年にわたり保持してきた米国内でのNBA中継権を今シーズ[…]

Read More

Warner Bros. Discoveryは、NBAに対する契約違反訴訟で和解しました。WBDは過去40年にわたり保持してきた米国内でのNBA中継権を今シーズン限りで失いますが、代わりに米国内外でNBAのコンテンツを使って新番組を制作する権利と、海外の一部市場で試合を中継する権利を獲得します。

 

既報の通り、WBDはNBAの来季(2025-26シーズン)の米国内中継権をめぐる契約交渉に敗れ、7月にNBAを契約違反で訴えました。両者は今回、和解により法廷闘争を解決し、既存の提携関係を11年間延長することに合意しました。

 

この取引の一環でWBDは、TNT SportsとそのデジタルブランドのBleacher Report(ニュースサイト)、House of Hightlights(ソーシャルメディア)の番組内で、試合のハイライトなど、NBAの映像コンテンツを無償で使用する権利を取得。さらに、北欧諸国、ポーランド、ブラジルとメキシコを除くラテンアメリカで試合を中継する権利を確保しました。

 

‘Inside the NBA’ will be licensed to ESPN and ABC starting next season. Photo: Andrew Burke-Stevenson/Boston Globe/Getty Images

 

同時にWBDは、Charles Barkley、Shaquille O’Nealなど往年のNBAスターが司会を務めるTNTの長寿番組「Inside the NBA」をESPNにライセンスすることでも合意しました。契約に基づき、「Inside the NBA」は来シーズンからESPNとABCで放送されます。TNT Sportsは「Inside the NBA」を引き続き制作するほか、番組のタレントを起用した新コンテンツをケーブルやストリーミングなどWBDのプラットフォーム向けに開発するということです。

 

また、ESPNはWBDとの合意にともない、2025年シーズンからカレッジスポーツ「Big 12」のフットボール13試合と男子バスケットボール15試合(いずれも各シーズン)の独占的権利をTNT Sportsにサブライセンスしました。

 

両者の和解を受けてNBAは来季(2025-26シーズン)から11年間、総額$77B(10兆7800億円)の支払いに合意していたDisney、NBCU、Amazonの3社が試合を米国で中継・配信することが決まりました。

 

DisneyとWBDは、Disney+とMaxのバンドルに加え、今回のNBA中継をめぐるアレンジメントなど近づいていますね。暗礁に乗り上げているVenu Sportsの件もあってということでしょうが、両社の距離が近づいていることは確かかと思います。WBDとすれば、Discoveryの持つ米国外でのスポーツへの強みを活かせる形となり、長年支えてきたNBA契約を失うことにはなりますが、格好はついた形となりました。

 

(参考リンク)

https://press.wbd.com/us/media-release/warner-bros-discovery-and-national-basketball-association-reach-agreement-expand-long?language_content_entity=en

https://www.cnbc.com/2024/11/18/nba-warner-bros-discovery-settle-lawsuit-over-live-game-rights.html

https://www.axios.com/pro/media-deals/newsletters/2024/11/18/media-what-drives-carr

 

FCC、次期委員長にBrendan Carr氏

トランプ次期大統領は、米連邦通信委員会(FCC)委員長にBrendan Carr(共和党)を指名しました。Carr(45歳、写真下)は現FCC委員の一人であり、[…]

Read More

トランプ次期大統領は、米連邦通信委員会(FCC)委員長にBrendan Carr(共和党)を指名しました。Carr(45歳、写真下)は現FCC委員の一人であり、テレコミュニケーション専門の弁護士です。2012年にFCCの法律顧問となり、2017年第一期トランプ政権下でFCC委員に指名・承認されました。当時のAjit Pai・FCC委員長の下で、ネット中立性ルールの撤回を支持しています。

 

 

Carr指名に続いて、現FCC委員長のJessica Rosenworcel(民主党)が、来年1月20日をもって辞任する旨を発表しています。

 

Carrは、第二次トランプ政権下での政府再編構想とも言われる「Project 2025」で、FCC関連内容をまとめた筆頭著者です。この「Project 2025」には、Apple、Meta、Google、Microsoftなどへの規制強化についても明記されています。トランプも新政権公約として、巨大IT企業の規制強化、(合併などへの)規制緩和、政治的偏見報道を行うテレビ局への処罰などを掲げていますが、Carrはこれら全てに賛意を示しており、Carrの委員長就任後はFCCの大幅な方向転換が予想されると、NYTほか米各メディアが報じています。

 

政府がどこまでApple、Meta、Google、Microsoftなど巨大IT企業を法的にコントロールできるか、いずれにしてもCarrはシリコンバレーを相手に挑戦状を叩きつけることが予想されます。超党派の公益団体Free Pressの共同CEO・Jessica Gonzalezは「CarrはFCCの権限外のことをやろうとしているほか、現行の規制ルールを公然と誤訳している」とNYTにコメントしています。

 

本来、独占禁止法や消費者保護法を基準にした法的決定権は、FCCではなく連邦取引委員会(FTC)と司法省(DOJ)にあるので、通常ならCarrがFCCの権限で好き放題できるわけではないとNYTは指摘します。しかし同時に、新政権下ではFCCの管轄拡大法案が議会に提出されることも予想されるそうです。GoogleやMetaといった、本来コミュニケーションサービスとはみなされない企業も、FCCの管轄下に置くというものです。新政権下でのFCC委員構成は共和党3人、民主党2人となります。

 

さらにトランプは選挙活動中から、ABCやNBC、CBSなど主要テレビ局が「不公平な報道をする」という理由で、FCCがこれらの放送ライセンスを取り消すべきだと訴えていましたが、こうした動きが具体化する可能性も懸念されます。本来、FCCがテレビ局やラジオ局に対して、編集方針や判断を基準に罰則を与えることは法律で禁じられているそうですが、それでも、放送業界の弁護団らはCarrが圧力をかけてくることを懸念しているとNYTは報じています。

 

Carrは次期トランプ政権で発言権が増しているElon Muskとも密接に繋がっているとNYTは指摘しています。こうした点もシリコンバレーの巨大IT企業にとっては脅威となりそうです。

 

(参考リンク)

https://www.nytimes.com/2024/11/17/technology/fcc-nominee-brendan-carr-trump.html

https://variety.com/2024/tv/news/brendan-carr-trump-fcc-mouthpiece-big-tech-1236213823/

https://thehill.com/policy/technology/5001864-fcc-chair-to-step-down-on-trumps-inauguration/

YouTuber向け広告ソリューションのAgentioが資金調達

YouTuber向けに動画内広告枠の自動販売プラットフォームを提供するクリエイターマーケットプレイス・スタートアップのAgentioは、シリーズA資金調達で$1[…]

Read More

YouTuber向けに動画内広告枠の自動販売プラットフォームを提供するクリエイターマーケットプレイス・スタートアップのAgentioは、シリーズA資金調達で$12M(16億8,000万円)を集めました。資金調達の成功は、ブランドによるインフルエンサーマーケティングへの関心の高まりと、潜在顧客にリーチする媒体としてのYouTubeの影響力の拡大を反映していると、Axiosは解説しています。

 

2023年創業のAgentioは、今回で資金調達額を総額$16.25M(22億7,500万円)としました。同社のプログラマティック広告プラットフォームは、ブランド(広告主)の関心やブランドセーフティ、パフォーマンスデータを考慮してクリエイターとブランドをマッチングするなど、YouTube広告の販売と購入プロセスの自動化を支援するというものです。

 

Agentioは昨年、この広告プラットフォームをローンチしました。同社によると、料理宅配大手のDoorDash、格安ワイヤレスサービスのMint Mobile、オンラインクラスのMasterClassなど約50のブランドと、チャンネル登録者数2,150万人のNick DiGiovanni、同537万人のRhett & Linkなど人気クリエイター1,000人強が同社プラットフォームを利用しているそうです。広告取引の質を維持するため、マーケットプレイスへの参加はいまのところ招待ベースのみとなっています。

 

ブランドのプラットフォームへの支出額(広告購入額)は徐々に増えてきたそうですが、Q3からQ4にかけて平均2.35倍に急増し、同社も黒字化を達成したということです。

 

Agentioは、クリエイターとブランドをつなぐマッチングエンジンのほかにも、ブランドがキャンペーンのパフォーマンスを把握できるように、さまざまな測定ツールを構築しています。インプレッションに加えて、リンクのクリック数、QRコードのスキャン数、Shopify統合によるコンバージョン率なども測定することができ、ブランドはこれらデータをもとにクリエイターとの契約更新を検討し、長期的な提携関係の構築が可能になるとしています。

 

また、たとえばクリエイターコンテンツがブランドセーフかどうかの判断もAIで瞬時に行うことで、広告販売と購入プロセスを迅速化。同社のCEO、Arthur Leopoldは、同社のシステムを使えば、ブランドは数日以内に数十人ものYouTubeトップクリエイターに「6 桁(数千万円単位)のメディア予算」を投入できるようになると語っています。従来であれば、これには数カ月もの時間がかかったそうです。

 

Agentioは新たに調達した資金を、より多くのクリエイタープラットフォームをサポートするなど、市場開拓と製品開発に投資する計画です。同社は現在、YouTubeに注力していますが、来年には別のプラットフォームにもサポートを広げる考えです。

 

(参考リンク)

https://www.agentio.com/blog/agentio-series-a-announcement

https://www.axios.com/pro/media-deals/newsletters/2024/11/19/media-sports-bet-reset

https://techcrunch.com/2024/11/19/agentio-raises-12-million-from-benchmark-for-its-youtube-ad-marketplace/

Netflix、スポーツライブ配信で技術トラブル

スポーツライブ配信に参入したNetflixですが、11月15日のジェイク・ポール対マイク・タイソンのボクシングマッチは大きな注目を集めました。興行としては大きな[…]

Read More

スポーツライブ配信に参入したNetflixですが、11月15日のジェイク・ポール対マイク・タイソンのボクシングマッチは大きな注目を集めました。興行としては大きな成功を収めた一方で、ライブ配信では技術的トラブルが発生。音声の途切れやバッファリングなどの問題が多発し、Netflixのスポーツ配信本格デビューとなるNFLのクリスマスゲーム中継に暗雲が垂れ込めています。

 

 

このボクシングマッチは、世界中でライブ配信され、ピーク時には視聴者数6500万人を記録しました(Netflix発表)。ただし、グローバル配信ということで、米国内のみの視聴データは公開されていません。

 

一方で、苦情件数もライブ配信中に50万件を超えたと報じられています。X、Blueskyなどのソーシャルメディアも苦情とジョークで炎上。昨年のNFLクリスマスデーの1試合平均視聴者数は2800万人ですから、その規模に耐え得るのかどうか注目が集まっています。

 

NetflixのCTO・Elizabeth Stoneは「世界中で前代未聞の視聴者数となったことが、多くの技術的なトラブルを招いた。それでも、このボクシングマッチのライブ配信は大成功だった」と社内向けには述べているそうです。D2Cライブ配信の場合、技術面では視聴者側のネット環境に影響される部分も多分にあります。しかし近年はPeacockがオリンピックで、AmazonがNFL Thursday Night Footballで、それぞれ安定したライブ配信を提供しています。今回のNetflixの技術トラブルは、もはや業界としては受け入れられるものではありません。

 

広告でのマネタイズが重要になってきているNetflixにとって、スポーツを含むライブ番組はキーコンテンツとなります。11月のボクシングマッチに続き、12月25日のNFLクリスマスデーゲームでは、Kansas City Chiefs対Pittsburgh Steelersと、Baltimore Ravens対Houston Texansという豪華2試合がライブ配信されます。NetflixがNFLに支払った中継権料は、1試合につき$75M(105億円)と言われており、11月半ばには2試合の広告枠を完売しています。(これらの試合の米国、中国を除くグローバル配信はDAZNとなっています)

 

Netflixは現状では、スポーツのライブ配信番組制作は他社に依頼しています。ボクシングやWWDの映像制作は興行サイドが行いますし、NFLクリスマスデーゲームの制作を請け負うのはCBS Sportsです。

 

NFLクリスマスデーゲームでは、ハーフタイムショーにビヨンセの出演も決まり、役者は揃いました。今回の技術トラブルを受けて、NetflixはNFLやWWEに問題ないと報告しているそうですが、本当に大丈夫なのかという不安の声は強まるばかりです。NFLはボクシングマッチでの技術トラブルを受けて「Netflixの配給力を信じている」とコメントしています。

 

スポーツのライブ配信には様々な技術が絡むので、スムーズな配信には技術力と経験が必要となります。その意味では、AmazonやNBCUなどのネットワークはライブ配信の経験も豊富で、この分野には長けています。Netflixも将来のスポーツコンテンツの必要性からライブ配信に参入したわけですが、満足のいく配信をするにはもう少し経験が必要になりそうです。

 

(参考リンク)

https://www.axios.com/2024/11/18/jake-paul-mike-tyson-fight-stream-issues

https://www.sportico.com/business/media/2024/tyson-paul-tech-woes-spell-doom-netflix-christmas-nfl-games-1234810701/?

https://www.tvtechnology.com/news/beyonce-to-appear-on-netflixs-christmas-day-nfl-event-but-can-the-streamer-cope?

Amazon、DiamondのRSNを配信へ

Amazonがローカルスポーツ配信の主要プレイヤーに躍進する可能性が出てきました。Amazonはリージョナル・スポーツネットワーク(RSN)群のFanDuel […]

Read More

Amazonがローカルスポーツ配信の主要プレイヤーに躍進する可能性が出てきました。Amazonはリージョナル・スポーツネットワーク(RSN)群のFanDuel Sports Network(旧Bally Sports)をPrime Videoで配信することで、FanDuelを所有・運営するDiamond Sports Groupと複数年の契約を結びました。NFLのThursday Night Footballに加えて2025年からはNBAとWNBAの試合を配信するAmazonは、Diamondとの契約でライブスポーツコンテンツをさらに強化することになり、着々とスポーツ配信の足場を広げています。

 

Sopa Images | Lightrocket | Getty Images

 

この契約によりAmazonは、Diamondが31州で運営する16のRSNをPrime Videoのアドオンチャンネルとして提供します。各RSNのサービス地域に住むPrime Video加入者はアドオンチャンネルを契約することで、試合のライブ配信や試合前後の番組など、FanDuelのローカルコンテンツをPrime Video経由で視聴できるようになります。AmazonとDiamondの契約額は非公開。アドオンチャンネルの提供開始時期や料金など詳細は後日発表されます。

 

Diamondは現在、NBA・13チーム、NHL・8チーム、MLB・6チームの試合を放送・ストリーミングする権利を持つほか、New York Yankees、Brooklyn NetsのホームであるYES Networkの少数株主でもあります。

 

AmazonとDiamondの契約は非独占的であり、Diamondは今後、ほかのストリーミングサービスとも同様の契約を取り交わす可能性があります。

 

昨年3月に連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請して経営破綻したDiamondは、Amazonとの契約発表の翌日(11月14日)、再建計画が裁判所から承認され、数週間以内にもチャプター11の保護から脱する見込みだと発表しました。

 

DiamondはAmazonとの契約発表に先立ち、NBAとNHL・21チームの試合を1試合$6.99(980円)から視聴できるサービスを開始すると発表。DTCストリーミングパッケージのオプションとして、12月5日から提供する予定です。

 

Amazon関連でもう一つ。Amazonは、無料の広告入りストリーミングサービスのFreeveeを向こう数週間以内に閉鎖し、Prime Videoに統合すると発表しました。統合後もFreeveeの全番組は、Prime Video非加入者(Prime非加入者)に無料で提供されるということです。AmazonはFreevee閉鎖について「シンプルな視聴体験を提供するため」と説明しています。Prime Videoが広告モデルになったことで統合は前々から噂されていましたが、これで綺麗にPrime Videoに一本化ということですね。Freeveeはその役割を終えたことになります。

 

(参考リンク)

https://www.businesswire.com/news/home/20241113243885/en/Diamond-Sports-Group-Announces-Multi-Year-Commercial-Agreement-With-Prime-Video

https://www.businesswire.com/news/home/20241114388339/en/Diamond-Sports-Group-Receives-Court-Approval-of-Reorganization-Plan

https://www.cnbc.com/2024/11/13/amazon-prime-video-to-stream-diamond-regional-sports-networks.html

https://www.espn.com/mlb/story/_/id/42373474/diamond-sports-group-reaches-agreement-amazon

https://www.hollywoodreporter.com/tv/tv-news/amazon-shut-down-freevee-1235780333/