年末が迫り、今年の総括記事が少しずつ出てきていますが、2024年はパリオリンピックにあわせてAIを使用し制作した広告が数多く登場しました。しかし、新技術を使うと[…]
2024年AI広告失敗例(ADWEEK)
年末が迫り、今年の総括記事が少しずつ出てきていますが、2024年はパリオリンピックにあわせてAIを使用し制作した広告が数多く登場しました。しかし、新技術を使うという果敢な挑戦こそ評価されても、その多くは「的外れなメッセージ」から「意図しない偏見」、「失職の危機感」までさまざまな理由で非難や反発の対象となりソーシャルで炎上しました。ADWEEKが、Coca-Cola、Google、Netflix など、特に物議を醸した広告やAI施策をまとめています。(各社の広告は文末の「参考リンク」の記事からご覧いただけます)
- Coca-Cola
ブランドを象徴する赤いトラックやトナカイ、ホッキョクグマが登場する1995年のホリデー広告の定番「Holidays Are Coming」をAIで再製して11月にリリースしました。当初の評判は良かったのですが、クリエイティブコミュニティを中心にAI台頭による失職への懸念が表明されたのをきっかけに空気が一変。「(AI広告は)ホリデーの定番から暖かさや喜びを奪い取った」「ホリデーが台無しになった」などの不平不満がソーシャル上に溢れ、人気ブランドなだけに炎上騒ぎも大きくなったことは記憶に新しいです。
- Netflix
11月にNetflixで配信された人気アニメシリーズ『Arcane』のプロモーションの一環でポスターを公開。同シリーズは豊かなビジュアルと高い芸術性に定評がありますが、登場キャラクターの手の見え方がおかしいことをファンがXで指摘したのを契機にAI生成画像が使われた疑惑が浮上し、AI使用はアーティストへの冒涜だとしてソーシャルで不満が噴出する事態となりました。Arcaneを制作したRiot Games幹部が自社のAI禁止ポリシーを説明し、問題の画像は間違いであるとして事態の収拾に努め、画像は削除されました。
- Meta
広告ではありませんが、AI利用の透明性向上を目指す業界全体の取り組みの一環としてMetaは4月、AIで制作されたコンテンツであることを示す「Made with AI」ラベルをFacebookとInstagramに導入しました。しかし、ラベル付けが不正確であるとして、特に写真家とクリエイティブ関係者から苦情が続出し、一時はクリエイターがMetaプラットフォームをボイコットして反AIを掲げる競合サービスのCaraに乗り換える騒ぎになりました。Mataは7月、当初の方針を見直しラベル付けを変更しています。
GoogleはNBCUのオリンピック番組で「Dear Sydney」と題した60秒の広告をリリースしました。オリンピック選手に手紙を書きたいという娘を手伝おうとした父親が、娘の代わりにGoogleの対話型AI「Gemini」に手紙を書いてもらうというストーリーで、娘の気持ちを無視する無神経な内容だとして放送直後から批判が殺到し、Googleは広告を取り下げました。
- Toys”R”Us
創業者の故Charles Lazarusが子供の姿で登場する60秒の広告を生成AIで制作し、6月にリリースしました。詳しくは7月10日付の記事をご覧いただきたいのですが、この広告はLazarus少年がショットによって別人に見えるなど成果物の質がこき下ろされたほか、盗作や無許可のIPで訓練したAIツールを使用したとして、クリエイターたちがソーシャルで非難の声を上げました。
- Levi’s
こちらも広告ではありませんが、Levi’sは2023年、ファッションや小売りブランド向けにAIでリアルなアバターを制作するLalaland.aiと提携しました。この発表はソーシャルで炎上し、アバターの代わりになぜもっと多様なモデルを採用しないのかと、Levi’sに非難が集中しました。AI生成モデルの利用は、BIPOC(黒人、先住民、その他有色人種)コミュニティから仕事の機会を奪うことになると警告する声もあったそうです。
ソーシャルで炎上というのがどうも難癖に思えて仕方ないのですが、いずれにしてもこうした声を聞くと、AIの実用化にはまだ時間がかかりそうですね…
(参考リンク)
https://www.adweek.com/creativity/ai-ad-snafus-so-far/