Netflixが広告の効果を高めるため、新たなターゲティング広告の開発を進めていると、FT.comが報じています。同じユーザーに同じ広告が繰り返し配信されやすい従来のスタイルを改め、テレビ番組のミニシリーズもののように、同じブランドの広告を「エピソード順」に配信するというものです。
関係者がFT.comに語ったところでは、Netflixは6月下旬に開催されたカンヌライオンズで世界の大手広告主数社と協議を行いました。そこで話題に上ったイノベーションのひとつが「エピソードキャンペーン」です。
新広告では、キャンペーン期間中、1つの広告を繰り返し配信する代わりに複数の「エピソード」(広告)を用意。どの視聴者に、どのエピソード(広告)が配信されたかをNetflix側で追跡し、シリーズものの次のエピソードを、次のCMブレークに配信します。
広告入りのストリーミングサービスは、広告主のニーズによって広告の配信先を絞り込みできるのが特長ですが、同じ広告が繰り返し表示されやすく、それを嫌ったユーザーのブランドイメージ低下につながりかねないという問題がつきまといます。新エピソード広告は、そういったユーザー最大の苦情の1つを解決できる可能性があるということです。
ユーザーが特定のコンテンツを視聴時にのみ、エピソード広告を配信することもできるそうです。例えば、Netflixで人気の映画や番組の広告ブレークにのみ配信するように設定しておけば、ほかのコンテンツの視聴時にエピソード広告が表示されることはありません。
リニアではもともと広告を表示する番組を指定できますが、Netflixのようなオンラインサービスの場合、広告が配信されたかどうかをユーザーごとに把握できるのが強みです。全エピソード広告を漏れなく順番通り配信することで、広告主は消費者の不興を買うことなく、リーチしたい消費者に効率的に広告を届けることを期待できます。シリーズものという特徴を生かし、消費者の関心を維持するという仕組みです。
Netflixがターゲティング精度をどの程度まで向上できるかは正式発表を待つ必要がありますが、広告事業は堅調に推移しているようです。FT.comは広告関係のある幹部の話として、Netflixでは広告入りプランの加入者1人あたり売上が、標準的なサブスクプランの加入者1人あたり売上を超えたと伝えています。
複数のクリエイティブを作る必要があるので、大手を対象とした商品なのでしょうが、どの程度の物語性を持つものなのか、見てみたいですね!