スーパーボウルを放送したFoxですが、その直後の2月10日に、John Nallenを社長兼最高執行責任者(COO)への任命とRed Seat Venturesの買収を発表しました。
John Nallenは、2028年6月までFoxと長期雇用契約を結びました。Fox Corporationの傘下には、Fox News、Fox Sports、Fox地上波放送局、Tubiが含まれます。John Nallenは以前、21st Century FoxのEVP & CFOを務め、資本市場やM&A取引を含む同社の財務面全般を統括していました。
Foxのエグゼクティブ・チェアマン兼CEOであるLachlan Murdochは「John NallenはFoxの進化において重要な役割を果たし、長年にわたり自分の重要なパートナーだった。我々は彼の継続的な影響力と戦略的ビジョンを高く評価しており、彼がFoxの強力な業績と収益性を維持するために引き続き貢献してくれると信じている。」とコメントしています。
買収が発表されたRed Seat Venturesは、クリエイター主導のポッドキャストやデジタルメディアで知られ、元Fox Newsで活躍したTucker Carlson、Bill O’Reilly、Megyn Kellyなどを扱う保守系のデジタルメディアです。
契約条件によると、Red Seat VenturesはFox News Mediaではなく、FoxのTubi Media Group内に独立した企業として存続することになります。なお、Carlson、O’Reilly、Kellyは全員、対立の末にFox Newsを去った経緯があります。
Carlsonは2023年にRed Seat Venturesを通じて「Tucker Carlson Network」の動画サブスクリプションサービスを開始し、Kellyはその3年前に「The Megyn Kelly Show」を立ち上げています。O’Reillyは「No Spin News and Podcast Channel」を運営しています。その他、Red Seat Venturesに所属する元ケーブルニュースの著名人には、Piers Morgan、Nancy Grace、Eric Bollingなどがいます。
Tubi Media Groupを率いるPaul Cheesbroughは「クリエイターエコノミーは、リーチと影響力の両面で世界的に最も急成長しているメディア領域であり、消費者はこれらのプラットフォームを通じて、信頼するタレントやブランドから直接情報やエンターテインメントを得ている」と今回の買収の意味を強調しました。
Red Seat Venturesは「Foxとの提携により、これまでの投資を活かしながら、クリエイターに提供するサービスを拡充しつつ、それぞれのブランドの独立性を維持することができる。これはまさに理想的な形」としています。
先日の記事でもお伝えしたトランプ政権の明確なメディア選別がある中で、Foxは保守系メディアのメインストリームとしてその地位を確固たるものにしている印象があります。今回の買収で、一旦はTubiの傘下に入るようですが、FOXがローンチを公表している新たな配信サービスの主要コンテンツにもなっていきそうですね。
(参考リンク)
https://www.adweek.com/convergent-tv/fox-john-nallen-president-coo/
https://www.adweek.com/tvnewser/fox-red-seat-ventures-acquisition-tucker-carlson/