Disney、Q4決算、7,000人削減へ

Disneyは、従業員の3%にあたる7,000人の人員削減を含む大規模なリストラ計画を発表しました。コンテンツ部門の権限を強めるとともに、人員削減やコンテンツ投資見直し(自社で制作する番組や映画数を減らすなど)を通じて$5.5B(7,150億円)のコストを削減します。

 

リストラ計画は、Robert IgerがCEOに復帰して初の四半期決算(2022年10~12月期)説明会で明らかにしました。赤字が続くストリーミング事業の黒字化は大きな課題の1つで、Hulu売却を検討する可能性も示唆しています。

 

Disneyはリストラの一環で、前任のBob Chapekが新設したコンテンツディストリビューションと収益化の専門部隊「Disney Media and Entertainment Distribution(DMED)」を正式に解散し、コンテンツディストリビューションと制作予算、広告販売を統括する新部門「Disney Entertainment」を設置することを発表。新部門トップが番組や映画の選定と制作に加え、ストリーミングプラットフォームやリニアなど従来のアウトレットでのコンテンツのディストリシューションとプロモーション、広告販売、収益化などに責任を負います。前任のChapekが進めたコンテンツ制作と収益化を分離する体制作りを白紙に戻し、クリエイティブ責任者がコンテンツの収益化まで一貫して管理する体制となるようです。

 

同社は2022年10月時点で約22万人を雇用しており、人員削減の大半は元DMEDの従業員が対象です。また、コスト削減額のうち約$3B(3,900億円)をスポーツ以外のコンテンツ投資から、また約$2.5B(3,250億円)を販売と一般管理費から減らす方針です。

 

Disneyの株価は2021年初頭の最高値から40%以上も下落しており、物言う株主のNelson Peltzから委任状争奪戦を仕掛けられるなど事業見直しとコスト削減圧力が高まっていました。

 

2022年10~12月期決算は、売上が前年同期比8%増の$23.51B(3兆563億円)、純利益は同11%増の$1.28B(1,664億円)でした。

 

Disney+やHulu、スポーツ専門のESPN+など全ストリーミングサービスを含むDTC事業は、膨大なコンテンツ投資が負担となり$1.05B(1,365億円)の赤字でした。直前期と比べて赤字幅は縮小したものの、Disney+加入者数も減少。インドで人気のクリケットリーグの配信権を失い、インドとその他アジア諸国で加入者数が減ったことが主な理由で、12月31日時点の加入者数は9月末時点から3%減の1億6,180万人でした。

 

同社はストリーミング事業の黒字化を目標に掲げており、今後はストリーミングコンテンツのマーケティング投資とサブスク料金を見直すとともに、他のディストリビューターへの自社コンテンツのライセンスを増やす方針です。Disney+と一部ストリーミングバンドルの料金を昨年値上げしましたが、加入者の解約は最小限だったそうで、それを踏まえてマーケティング費用の縮小と、新たな値上げの可能性に触れています。

 

IgerはCNBCの取材に対し、Hulu売却の可能性も示唆。DisneyはHuluの3分の2を所有しており、残る3分の1をComcastから買収するとの見方が有力だったため、市場関係者はIgerの発言を驚きをもって受け止めていますが、これがもし本気なら、広告部門は結構大変なことになりますね… (おそらくは駆引きの一環だと思うのですが)

 

https://www.wsj.com/articles/disney-dis-q1-earnings-report-2023-11675825320?mod=article_inline

 

https://www.wsj.com/articles/robert-iger-shakes-up-disneys-entertainment-operations-rethinks-hulu-ownership-11675977189?mod=business_lead_pos3