ESPN・NBCU・Netflix、MLBと新契約

MLBは、2026〜2028年シーズンを対象に、ESPN、NBCU、Netflixと新たな全米放映・配信契約を締結しました。報道によると、3社合計の契約規模は年[…]

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MLBは、2026〜2028年シーズンを対象に、ESPN、NBCU、Netflixと新たな全米放映・配信契約を締結しました。報道によると、3社合計の契約規模は年間約$800M(1,200億円)、イベント権利などを含めると約$1.3B(1,950億円)に達する見込みです。

 

今回の契約は、ESPNが今年2月、35年間更新してきたMLBとの現行契約を2025年シーズン終了をもって打ち切ると発表したことに伴い、そこで放棄された一部の放映権と、かつてRokuが保有していた契約を対象に再編されたものです。9月にはMLBと3社の交渉が大詰めを迎えたことが報じられていました(9月25日付記事参照)。

 

Photo illustration: Brendan Lynch/Axios. Photo: Michael Reaves/Getty Images

 

  • ESPN

ESPNは、新ストリーミングサービスの「ESPN」において、アウトオブマーケット試合向け配信サービス「MLB.TV」を販売・配信する権利に加え、レギュラーシーズン30試合をリニアと配信サービスで中継する権利を取得しました。さらに2026年からは、PadresやMarinersを含む 6球団のインマーケット試合の権利(local in-market rights)を独占します。「ESPN Unlimited」(ESPN全コンテンツにアクセスできるプラン)加入者向けには、アウトオブマーケット試合を年間150試合以上提供する予定です。

 

また、「MLB Little League Classic」の独占放映権を維持し、新たに Memorial Day特別試合とオールスター後の開幕戦の権利を取得します。一方で、35年間放送してきた「Sunday Night Baseball」の放映権は、今回の契約でNBC Sportsに移行します。契約額は年間約$550M(825億円)規模とされ、旧契約と同程度と伝えられています。

 

  • NBCU

NBCU傘下のNBC Sportsは、年間約$200M規模の契約でSunday Night BaseballをESPNから引き継ぐとともに、Opening Dayの一部試合、「Wild Card Round」全試合 などの権利を得ました。これらはNBC、新ケーブルスポーツチャンネルNBCSN、Peacockなどで放送・配信されます。

 

これにより、NFLの「Sunday Night Football」、NBAの「Sunday Night Basketball」と並び、日曜夜に年間を通じてスポーツ中継を編成する体制が整います。

 

  • Netflix

Netflixは年間約$50M(75億円)規模の契約で、シーズン開幕前夜の特別試合「Home Run Derby」、映画『Field of Dreams』の撮影地で行われる特別試合などの放映・配信権を取得しました。また、これより前にNetflixは、2026年の World Baseball Classic(WBC)全試合を日本で独占配信することが発表されています。ラインナップとしては限定的ですが、ライブイベントを継続的に扱うことになります。

 

なお、今回の3社の新契約は、Fox SportsおよびTNT Sportsとの現行契約とは別枠であり、FOXはレギュラーシーズンの試合、「All-Star Game」「World Series」「League Championship Series(LCS)」「Division Series」、TBSはLCS、Division Series、レギュラーシーズン中の火曜夜の試合、Apple TVはレギュラーシーズン中の「Friday Night Baseball(ダブルヘッダー)」を引き続き放映・配信します。

 

長年MLBのローカル試合の多くを担ってきたリージョナルスポーツネットワーク(RSN)が破綻し、放映モデルの再編が進んでいます。2024年11月には、破綻したDiamond Sports(現Main Street Sports Group)がAmazonと契約し、同社の16のRSNをPrime Video加入者向けアドオンとして提供することに合意しました。今回のMLB契約は、こうしたローカル放映権の環境変化と並行して進められたもので、今後もストリーミング事業者を含む再編が続く可能性があります。

 

一方、MLBの視聴者数は増加傾向にあり、2025年のWorld Seriesは米国とカナダで2,400万人以上が視聴し、第7戦は2016年以来で最高の視聴率を記録しました。リアルタイム視聴の比率が高いスポーツ中継は、録画視聴が少ないことから、広告価値が維持しやすいとされています。

 

次に注目される大型契約は、NFLが2021年に締結した期間11年の放映契約について、2029年に契約解除オプションを行使するかどうかです。CommissionerのRoger Goodell氏は、交渉開始が前倒しされる可能性に言及しています。主要スポーツリーグの放映権動向は、今後もメディア企業の事業戦略に大きな影響を与えそうです。

 

(参考リンク)

https://www.mlb.com/press-release/press-release-mlb-forms-new-three-year-media-rights-agreements-with-espn-nbcuniversal-and-netflix

https://www.axios.com/2025/11/20/mlb-espn-netflix-nbc-rights-deal

https://www.adweek.com/convergent-tv/heres-a-look-at-mlbs-new-media-rights-deal-with-espn-nbc-and-netflix/

https://frontofficesports.com/mlb-finalizes-short-term-tv-rights-deals-adds-nbc-and-netflix/

 

WalmartとTarget、Q3決算で広告事業の成長を示す

米小売大手の決算では、リテールメディアが利益成長を支える構図が鮮明になっています。   Walmartは2026年度 Q3(8〜10月)決算で、VIZ[…]

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米小売大手の決算では、リテールメディアが利益成長を支える構図が鮮明になっています。

 

Walmartは2026年度 Q3(8〜10月)決算で、VIZIOを含む広告事業がグローバルで前年比53%増と大きく成長したと発表しました。米国では、VIZIOを除いた米国リテールメディア部門のWalmart Connectが33%増となり、サードパーティーセラーが参加する「Walmart Marketplace」経由も含めて広告主数が広がっています。海外ではインドのEC部門Flipkartがけん引し、国際広告事業が34%増となりました。

 

 

同社は広告売上の詳細を開示しないものの、広告と会員料収入は利益率の高い領域として事業に寄与し、Q3の連結調整後営業利益の約3分の1を占めました。Walmart+とSam’s Clubを含む会員収入(membership revenue)は17%増、うちSam’s Club Chinaが主に寄与した海外市場は34%増でした。

 

全社売上は5.8%増の$179.5B(26兆9,250億円)、純利益は29%増の$6.1B(9,150億円)。米国の既存店売上は4.5%増で、その成長をEC(28%増)と広告が支えています。ECの成長は店舗受け取りや迅速配送サービスの拡大によるもので、オンライン注文を3時間以内に配送できる範囲は米国世帯の95%に達しました。

 

Marketplaceの最新数値を開示していませんが、広告とEC販売の連動は一段と強まると見られ、2024年12月に完了したVIZIO買収により、CTV広告と購買データを結びつけた「リテールメディア×CTV」の強化にも含みを持たせています。

 

さらにWalmartは10月、OpenAIと提携し、ChatGPTから商品を直接購入できる「Agentic Commerce」を開始しました(10月23日付記事参照)。CEO Doug McMillon氏は「検索と商品リスト中心のECは終わり、文脈を理解する“ネイティブAI体験”が購買の中心になる」と述べ、AIを“選択のゲートウェイ”と位置付けています。

 

加えて同社は、上場先をNYSEからNasdaqへ変更すると発表しました。投資家に対し、デジタル企業としての姿勢を明確にする狙いがあるとみられます。

 

一方、同業のTargetのQ3(11月1日締め)決算は、純売上が1.5%減の$25.3B(3兆7,950億円)となり、12四半期連続の低迷となりました。非必需品需要の落ち込みと競争環境の厳しさから、純利益は19.3%減の$689M(1,033億5,000万円)に縮小しています。

 

The Target app in ChatGPT reimagines AI-powered shopping as a curated, conversational experience.

 

厳しい中でも、広告事業Roundelは明確な成長領域となっています。広告売上は$241M(361億5,000万円)と前年の$167M(250億5,000万円)から増加し、非商品売上は17.7%増となりました。デジタル売上比率は19.3%、オンライン既存売上は2.4%増と、広告とECの連動が続いています。

 

同社は2026年に$5B(7,500億円)の設備投資を予定し、店舗フォーマット刷新、生活必需品の値下げ、独自商品の強化、AIを活用した購買支援を推進すると発表しました。その一環として、TargetのショッピングアプリをChatGPTに統合し、チャット上で商品検索から複数商品のカート追加・決済まで完結できる連携を開始します。購入はTarget側で行うものの、商品探索と比較行動がチャット内で完結する点はWalmartと同様で、AIが購買導線の入り口になります。当初はベータ版が提供され、いずれユーザーはパーソナライズされたレコメンデーションをリクエストすることもできるようになります。

 

WalmartとTargetはいずれも、広告とAIを軸に「売場そのものをメディア化」する戦略を取っています。小売事業は、店舗・アプリ・AI上の行動データを活用し、ブランドと消費者を結びつける“広告プラットフォーム”として進化しつつあります。

 

(参考リンク)

https://corporate.walmart.com/content/dam/corporate/documents/newsroom/2025/11/20/walmart-releases-q3-fy26-earnings/q3-fy26-earnings-presentation.pdf

https://stock.walmart.com/_assets/_4c572b1d4302fde27e27f50647923f4f/walmart/db/938/9966/transcript_management_call/Earnings+Transcript+%28FY26+Q3%29.pdf

https://corporate.target.com/press/release/2025/11/target-corporation-reports-third-quarter-earnings

https://www.adweek.com/commerce/walmarts-ad-business-grows-53-q3-accelerate/

https://www.adweek.com/commerce/target-sales-continued-to-fall-in-q3-offset-slightly-by-its-ad-business/

https://www.wsj.com/business/retail/target-tgt-q3-earnings-report-2025-9383ab62

 

 

Amazon、AIエージェントで広告運用を刷新

Amazonは自社イベント「UnBoxed」で、AIエージェントを核に据えた広告プラットフォームの大規模刷新を発表しました。   セルフサーブ型広告管[…]

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Amazonは自社イベント「UnBoxed」で、AIエージェントを核に据えた広告プラットフォームの大規模刷新を発表しました。

 

セルフサーブ型広告管理ツール「Ads Console」とDSPの「Amazon DSP」を統合し、広告主が単一アカウントで運用できる「Amazon Campaign Manager」を新たに導入します。同時に、フルファネル広告運用を担う「Ads Agent」と、クリエイティブ制作を支援する「Creative Agent」の2つのAIエージェントも追加し、広告ワークフロー全体の効率化を目指します。小規模から大手広告主まで、外部の最新動画生成モデルも活用して高度な動画生成にも対応します。

 

Amazon’s new campaign manager has an Ads Agent built into it. (Amazon)

 

  • Campaign Manager

 

Amazon AdsのVP of Demand-Side Platform、Kelly MacLean氏によると、Ads ConsoleとDSPを統合することで、広告主は双方の広告プラットフォームを別アカウントで管理する必要がなくなります。12月に提供開始予定のCampaign Managerは、Sponsored AdsからCTV、オープンウェブのメディア購入までを一元管理できる「オールインワンダッシュボード」と位置づけられています。

 

広告主はAmazon Music、Audible、Prime Video、TwitchといったAmazonの自社メディアに加え、Roku、Disney、Spotifyなどの外部パートナー枠も同じUIで横断的に運用できます。複数ツールを切り替えることなく、ファネル全体にわたるオーディエンスにリーチできる点が特徴です。

 

  • Ads Agent

 

Ads Agentは、Amazon初の「メディアプランニングAIエージェント」です。チャット形式で指示を受け、キャンペーン設計、入札最適化、ターゲティング、メディアバイイングまでを担います。広告主側がメディアプランをアップロードすると、AIがキャンペーンや広告グループを自動生成し、予算配分や入札調整も行います。

 

たとえば「予算消化率75%未満の広告キャンペーンを抽出して」と入力するだけで該当キャンペーンが一覧化され、入札強化の指示まで可能です。さらに、クラウドベースのクリーンルームソリューション「Amazon Marketing Cloud」に直接アクセスし、自然言語の指示からSQLクエリを生成して分析まで行います。これにより、これまでデータサイエンティストが担っていた高度な分析をマーケターが自ら実行できるようになります。

 

また、Ads Agentは2026年提供予定の「Full Funnel Campaigns」と連携し、各ブランドに最適なSponsored Ads/Streaming TVなどの出稿設計をAIが提案します。キャンペーン開始後はデータシグナルを基に、予算、オーディエンス、運用戦略が自動調整されます。MacLean氏は、将来的に「チャット上またはCampaign Manager上で、AIが戦略の解説や調整を支援する」としています。

 

  • Creative Agent

 

Creative Agentは、既存のセルフサーブ型広告制作プラットフォーム「Creative Studio」(9月22日付記事参照)やAds Consoleに搭載されていた広告生成AIを進化させたもので、ディスプレイ広告や商品詳細ページ用の製品画像・アニメーション制作に加え、最新動画生成モデルを活用した高度な動画制作にも対応します。

 

これにより、CTV広告制作が従来の大手企業だけでなく、中小企業にも開放されます。Amazonは、Creative Studioにより中小広告主も無料でCTV広告の動画制作が可能になると見ており、新規需要の開拓を狙っています。

 

アドテク業界の関係者は、「今回の刷新は、代理店がキャンペーンをAmazon DSPへ移行しやすくするための施策」だと指摘します。従来「使いづらい」とされてきたDSPが、UI統合と費用優位性により、The Trade Deskなどの競合から広告予算を取り込む動きが加速するとの声が複数の業界関係者から上がっています。

 

一方、広告主・代理店は、AIによるメディアプランニングの精度に対して懐疑的な姿勢も残しています。「AIが人間の戦略的思考をどこまで置き換えられるのか」という評価は、実務での成果に委ねられることになります。

 

今回の刷新は、単なる管理画面の改善ではなく、広告運用プロセスそのものをAmazonエコシステム上に取り込む試みです。Google、Meta、The Trade Deskといった競合と並び、AI主導の広告市場における主導権争いがいよいよ本格化します。

 

(参考リンク)

https://advertising.amazon.com/resources/whats-new/unboxed-2025-campaign-manager?ref_=a20m_us_fnav_lngsw_en-us

https://adage.com/technology/amazon/aa-agentic-ai-ad-tech-roadmap/

https://www.adweek.com/media/amazon-ai-ads-agent-campaign-manager/

 

Disney、Q4決算

Disneyは2025年度Q4(7~9月)決算を発表しました。売上は前年同期比ほぼ横ばいの$22.46B(3兆3,690億円)と市場予想をやや下回ったものの、純[…]

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Disneyは2025年度Q4(7~9月)決算を発表しました。売上は前年同期比ほぼ横ばいの$22.46B(3兆3,690億円)と市場予想をやや下回ったものの、純利益は$1.44B(2,160億円)と前年同期の2倍超へ増加しました。一方、全事業部門の総営業利益(Total segment operating income)は$3.48B(5,220億円)で5%減となり、テーマパークとストリーミング事業の伸びをテレビネットワークと映画事業の不振が相殺する形となりました。決算発表後、同社株価は約8%下落しています。

 

Disney Chief Executive Bob Iger has been working to turn around the company’s performance. Gilbert Flores/Variety/Getty Images

 

通年では、売上が$94.43B(14兆1,645億円)で3%増、純利益は$13.43B(2兆145億円)と前年の$5.77B(8,655億円)から大幅に改善しました。全事業部門の総営業利益も12%増の$17.55B(2兆6,325億円)となり、通期では堅調な成長を示しました。

 

Entertainment部門(映画・テレビ・ストリーミング)のQ4売上は6%減の$10.21B(1兆5,315億円)、営業利益は35%減の$691M(1,036億5,000万円)と厳しい結果でした。主因はリニアネットワーク事業の低迷で、売上が16%減の$2.06B(3,090億円)、営業利益は21%減の$391M(586億5,000万円)と大幅に落ち込みました。政治広告の反動減($40Mのマイナス影響)や視聴率低下、有料テレビ加入者の減少によるアフィリエイト収入の縮小、さらにインド事業再編(2024年11月にReliance Industriesと合弁設立)の影響が重なったことが背景にあります。

 

対照的にDTC事業は四半期を通じて好調でした。売上は$6.25B(9,375億円)で8%増、営業利益は$352M(528億円)で39%増と大きく伸び、リニアネットワークの営業利益に近い規模に成長しています。内容は、料金値上げと加入者増によりサブスク収入が拡大した一方、広告売上は前年並みにとどまりました。インプレッション数自体は増加したものの、広告単価の下落やインド事業分の広告売上がなくなったことが響いています。

 

有料加入者数は、Disney+が前期比3%増の1億3,160万人、Huluが15%増の6,410万人となり、1,240万人増えて合計1億9,570万人に達しました。増加分の約半分はCharter Communicationsとのキャリッジ契約拡張によるもので、Charterのケーブルパッケージに従来のDisney+に加えて広告入りHuluが組み込まれたことが寄与しました。残りの多くは海外市場でのリテール増で、Disneyも他社同様、ストリーミング成長の中心が海外顧客に移っています。同社は、ストリーミング事業の利益率が2025年度の5%から今年度は10%に上昇すると見込んでいます。

 

コンテンツ販売・ライセンスなどその他の売上は26%減の$1.90B(2,850億円)、営業利益は前年同期の$316M(474億円)から$52M(78億円)の赤字へ転落しました。減収は劇場配給収入が減少したことによります。

 

Sports部門(ESPN中心)は売上が$3.98B(5,970億円)で2%増、営業利益は$911M(1,366億5,000万円)で2%減となりました。国内ESPNの営業利益は$908M(1,362億円)で3%減でしたが、広告収入は8%増と依然堅調でした。一方、8月にローンチしたESPNの新ストリーミングサービスに伴うマーケティング費用や番組制作費の増加が利益を圧迫しました。

 

新ESPNサービスの詳細は開示されていませんが、新規リテール加入者の約80%がDisney+やHuluとのバンドル経由で加入しており、複数サービスをまとめて契約させる戦略が解約抑止と視聴時間増につながっています。リニア離れが進む中でもスポーツは高い広告訴求力を持ち、ESPNはストリーミングとリニアをつなぐ中核としての役割を強めています。

 

CEOのBob Iger氏は決算説明会で、ストリーミング部門の通期営業利益が$1.3B(1,950億円)となり「前年から$1.2B(1,800億円)増、当初予測を$300M(450億円)上回った」と説明しました。3年前には約$4B(6,000億円)の営業赤字だったとし、同事業が黒字化して成長軌道に乗ったことを強調しています。また、Disney+を「AIを活用した物販、テーマパークやクルーズ連携、ゲーム、Disneyの知財を使ったユーザー生成コンテンツ(UGC)制作のハブ」と位置づけ、ストリーミングを軸としたエコシステム拡張に注力する姿勢を示しました。

 

Experiences部門(テーマパーク・リゾート・クルーズ・コンシューマープロダクツ事業)は売上が6%増の$8.77B(1兆3,155億円)、営業利益は13%増の$1.88B(2,820億円)と順調に推移しました。海外ではDisneyland Parisの拡張が寄与し、クルーズ事業もフリート拡大によるコスト増がある中で高い稼働率を維持しています。

 

リニアテレビの構造的縮小という逆風が続く一方、ストリーミングの黒字定着とExperiences部門の着実な成長により、Disneyは2025年度を「強い基盤の再構築が進んだ年」として終えています。

 

Disneyはこれといったヒット作が最近ない中で、ストリーミングにしてもパークにしても値上げで凌いでいるわけですが、この戦略がいつまでも続くわけではないので、本格的なヒット作の復帰が待たれますね。来年はアベンジャーズなどが出てくるようですが、反転なるでしょうか。

 

(参考リンク)

https://thewaltdisneycompany.com/the-walt-disney-company-reports-fourth-quarter-and-full-year-earnings-for-fiscal-2025/

https://www.wsj.com/business/media/disney-dis-q4-earnings-report-2025-bfde2f69

https://www.adweek.com/convergent-tv/disney-and-youtube-tv-dispute-could-continue/

https://www.cnbc.com/2025/11/13/disney-dis-earnings-q4-2025.html

 

Fox、Q1決算

Fox Corporationは2026年度Q1(2025年7〜9月期)の決算を発表しました。ニュース番組やNFL関連のスポーツ中継、そしてTubiが業績を押し[…]

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Fox Corporationは2026年度Q1(2025年7〜9月期)の決算を発表しました。ニュース番組やNFL関連のスポーツ中継、そしてTubiが業績を押し上げ、広告売上は6%増となりました。Tubiは同社の想定を上回るペースで初の黒字化を達成しています。

 

 

売上は前年同期比5%増の$3.74B(5,610億円)で、市場予測の$3.57B(5,355億円)を上回りました。デジタル事業と広告売上は伸長したものの、デジタルマーケティング費や番組制作費の増加が利益を圧迫し、純利益は前年の$832M(1,248億円)から$609M(913億5,000万円)へ減少しました。調整後EBITDAは2%増の$1.07B(1,605億円)でした。

 

広告売上は6%増の$1.41B(2,115億円)。Tubiの拡大に加え、ニュース領域での広告単価上昇やNFLを中心としたスポーツ中継の価格と視聴率の上昇が増収をけん引しました。政治広告の減少による影響は限定的で、総じて力強い広告需要が続いています。コンテンツおよびその他の収入は12%増の$411M(616億5,000万円)で、主にエンターテインメント関連の売上拡大によるものです。

 

アフィリエイト収入は3%増の$1.92B(2,880億円)で、Cable Networking Programming部門が3%増、Television部門が2%増となりました。CEOのLachlan Murdoch氏は、「ポートフォリオ全体でエンゲージメントが高まり、スポーツ、ニュース、エンターテインメント、そしてTubiにおいて堅調な広告需要を支えている」とコメントしています。

 

決算説明会でも、Tubiと新サービスFox Oneの業績が強調されました。Tubiは過去最高の売上を記録し、初の黒字化を達成。売上は前年同期比27%増、総視聴時間も18%増と順調に拡大しています。Murdoch氏は、Tubiが中期的にEBITDAの20〜25%を担う収益源に成長すると見込んでおり、Foxの事業構造の中核に据える方針を示しました。

 

四半期途中で始動したFox Oneも、当初予測を上回る契約数を獲得しています。特にVerizonやESPNとのバンドル提供が好調でした。Fox NewsとFox Sportsを統合したD2Cサービスで、月額$19.99(3,000円)、またはESPNアプリとのバンドルで$39.99(6,000円)で提供されています。Murdoch氏は、「平日はニュース、週末はスポーツという視聴傾向が定着しつつある」と述べ、順調な立ち上がりを報告しています。

 

部門別では、ケーブルネットワーク事業のCable Network Programming(Fox Sports 1、Fox Business、Fox Newsを含む)の売上が4%増の$1.66B(2,490億円)。内訳は、アフィリエイトが3%増の$1.09B(1,635億円)、広告が7%増の$345M(517億5,000万円)、コンテンツその他が6%増の$227M(340億5,000万円)でした。ニュースの価格上昇やスポーツのサブライセンス収入増がプラスに作用し、調整後EBITDAは7%増の$800M(1,200億円)でした。番組権利費や制作費の上昇が一部重荷となったものの、全体では堅調な収益拡大を維持しています。

 

Television部門は売上が5%増の$2.05B(3,075億円)。広告は6%増の$1.07B(1,605億円)で、Tubiを中心とするデジタル広告の拡大とスポーツ番組の価格上昇が寄与しました。政治広告の減少はあったものの、全体では増収基調を維持しています。アフィリエイト収入は2%増の$821M(1,231億5,000万円)、コンテンツその他売上は$162M(243億円)。調整後EBITDAは7%増の$399M(598億5,000万円)で、エンターテインメント番組の制作費増を吸収して増益となりました。

 

Murdoch氏は決算声明の中で、「記録的な2025年度に続き、強い成長モメンタムがQ1にも持続している。当社のアセットの質と財務的持続力が、Foxの将来に対する確信を支えている」と述べています。今後は、ニュースとスポーツを核とするブランド価値の強化に加え、TubiおよびFox Oneを軸としたデジタル事業のさらなる成長が焦点となりそうです。

 

(参考リンク)

https://media.foxcorporation.com/earnings/FY26/q1.pdf

https://www.wsj.com/business/earnings/fox-revenue-rises-on-higher-ad-sales-4a9a98c4

https://www.adweek.com/convergent-tv/foxs-tubi-reaches-profitability-for-first-time/

https://www.hollywoodreporter.com/business/business-news/fox-q1-2026-earnings-profit-falls-lachlan-murdoch-buyout-1236413053/

 

Comcast、ITV放送部門を買収か

Comcastが英国子会社Skyを通じて、英国の放送大手ITVのメディア&エンターテインメント部門の買収交渉を進めていることが明らかになりました。提示額は負債を[…]

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Comcastが英国子会社Skyを通じて、英国の放送大手ITVのメディア&エンターテインメント部門の買収交渉を進めていることが明らかになりました。提示額は負債を含めて£1.6bn($2.1B=2940億円)とされ、実現すれば英国の放送業界に大きな再編をもたらす見通しです。ただ、すでにSkyを擁するComcastによるITV買収となれば、放送事業の集中や競争への影響についてOfcom(英国通信庁)など規制当局による審査・承認は不可欠となります。

 

ITVの声明によると、取引の対象となるのは同社の英国における無料テレビ放送事業と配信サービス「ITVX」を含むメディア&エンターテインメント部門のみで、現在は初期の交渉段階にあり「現時点では合意に至る保証はなく、条件も確定していない」としています。ただ、実現すればComcastが2018年に約$30B(4兆2000億円)でSkyを買収して以来、英国市場での同社の存在感を一段と高めるものになることになります。複数の報道では、この取引の目的は「英国市場に特化した新たなストリーミング・プラットフォームの形成にある」と伝えられています。

 

この報道を受け、ITVの株価はロンドン市場で一時20%近く上昇し、過去16年で最大の上昇幅を記録しました。投資家の間では、ITVの資産価値が見直されるとの期待が高まっています。

 

ITVの制作部門であるITV Studiosは、今回の取引対象には入っていません。ITV Studiosは「Love Island」「Britain’s Got Talent」「Mr Bates vs The Post Office」などを手がけており、こちらも近年RedBird IMI(米投資会社RedBird Capital Partnersと、アブダビ政府系投資会社International Media Investments, IMIが共同で設立したメディア投資グループ)や、Banijay Group(フランスに本拠を置く世界最大級のテレビ制作グループ)など、複数企業が買収に関心を示していると報じられています。ITVが放送・配信事業を手放し制作事業に特化することになれば、変動の大きい広告収益への依存を減らし、グローバル市場向けコンテンツ制作に注力する体制へと移行することができます。

 

ITVは、英国経済の減速と広告市場の不透明感を背景に、Q4広告収入が前年同期比9%減となる見通しを示し、$46M(64億円)の一時的なコスト削減を発表したばかりです。放送事業の切り離しは、こうした構造的課題に対する経営上の判断とも見られています。

 

一方のComcastにとってもこの買収は大胆な賭けだと、米英両国のメディアは報じています。同社はSky買収後に数十億ドル規模の減損処理を行っており、今年6月にはドイツ事業Sky Deutschlandを€150M($173M=242億円)で売却しました。欧州放送市場の低迷が続くなかで、英国市場への再集中はリスクを伴うものの、SkyとITVを統合することで英国最大の放送・配信ネットワークを構築できる可能性があることは確かです。

 

米国同様に英国でも放送再編の動きが慌ただしくなってきました。

 

(参考リンク)

https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-11-06/sky-owner-comcast-in-talks-to-buy-itv-s-broadcasting-arm

https://www.advanced-television.com/2025/11/07/comcast-eyes-itv/

https://www.tvbeurope.com/business/itv-in-talks-with-comcast-over-potential-1-6-billion-sale?

https://variety.com/2025/biz/global/sky-itv-media-and-entertainment-unit-bid-1236572240/

Comcast、Q3決算

Comcastの2025年Q3決算は、主力のブロードバンドおよびケーブルテレビ事業で解約が続く一方、NBCUとPeacockを中核とするメディア事業では、前年の[…]

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Comcastの2025年Q3決算は、主力のブロードバンドおよびケーブルテレビ事業で解約が続く一方、NBCUとPeacockを中核とするメディア事業では、前年のパリ五輪による特殊要因を除けば堅調な改善がみられました。

 

 

Q3の売上は前年同期比2.7%減の$31.20B(4兆6,800億円)、純利益は8.2%減の$3.33B(4,995億円)となり、アナリスト予測を上回る結果となりました。調整後EBITDAは$9.67B(1兆4,505億円)で、前年同期比ほぼ変わらずでした。

 

NBCおよびストリーミングサービスを含むメディア事業は、売上が$6.59B(9,885億円)で前年同期比19.9%減でしたが、前年のパリ五輪関連収入の$1.9B(2,850億円)を除くと4.2%増と堅調でした。Peacockの収益改善とスポーツ番組費用の減少が寄与し、調整後EBITDAは28%増の$832M(1,248億円)となりました。広告売上(国内)は五輪効果反動で41%減の$1.96B(2,940億円)、ディストリビューション収入(国内)は13%減の$2.84B(4,260億円)ですが、五輪の影響を除けば広告収入は2.6%増、ディストリビューション収入は1.5%増でした。

 

Peacock単体では、調整後EBITDA損失が$217M(325億5,000万円)と前年同期の$436M(654億円)から半減しました。9月末の会員数は4,100万人と3四半期連続で横ばいながら、前年の3,600万人からは着実に増加しています。売上は$1.4B(2,100億円)と五輪効果を含む前年の$1.5B(2,250億円)を下回ったものの、赤字幅の縮小により黒字化に向けた道筋が明確になりつつあります。

 

メディア、スタジオ、テーマパークを含むContent & Experiences部門全体では、五輪の反動で売上が6.8%減の$11.74B(1兆7,610億円)、調整後EBITDAは8.4%増の$1.95B(2,925億円)でした。スタジオ事業は『Jurassic World Rebirth』のヒットやコンテンツライセンス収入の増加などにより売上は6.1%増の$3.00B(4,500億円)でしたが、制作費やマーケティング費用の増加が利益を圧迫し、調整後EBITDAは21.9%減の$365M(547億5,000万円)。テーマパーク事業はEpic Universeの開業効果で売上が18.7%増の$2.72B(4,080億円)、調整後EBITDAも13.1%増の$958M(1,437億円)と好調でした。

 

Connectivity & Platforms部門では、売上が0.6%減の$20.18B(3兆270億円)、調整後EBITDAが3.5%減の$8.01B(1兆2,015億円)でした。国内ブロードバンド契約者数は10万4,000件減の約3,140万件で、10四半期連続の純減。有料テレビ契約も解約に歯止めがかからず、25万7,000件減少して約1,150万件となりました。対照的にモバイル契約は過去最高の41万4,000件増で、合計890万回線に達しています。

 

既報の通り、Comcastはケーブルネットワーク事業を「Versant」として2026年中に分社化する計画を進めています。スピンオフ後はNBCUとPeacockの連携をさらに強化し、ライブスポーツを軸とした編成・広告・配信戦略を推進する方針です。10月にはNBA中継がNBCおよびPeacockで開始され、広告主からの関心も高まっています。

 

WBDの分社化・売却協議をめぐり、Comcastがスタジオおよびストリーミング資産の取得に関心を示しているとの報道も続いています。PresidentのMike Cavanagh氏は決算発表後の会見で、具体的な社名には触れず、Versantスピンオフ後のNBCUを補完する資産の買収に前向きともとれる発言をしています。ただ、トランプ政権下では大型買収への規制リスクが高くなるとの見方も出ており、Comcastの出方に注目が集まります。

 

(参考リンク)

https://www.cmcsa.com/static-files/773b72aa-1d0d-405e-af6c-d5ab5471c202

https://www.hollywoodreporter.com/business/business-news/comcast-q3-earnings-peacock-loss-subscribers-1236412904/

https://www.cnbc.com/2025/10/30/comcast-cmcsa-earnings-q3-2025.html

https://www.wsj.com/business/earnings/comcast-cmcsa-q3-earnings-report-2025-7232d74c

https://www.reuters.com/world/uk/itv-talks-with-comcasts-sky-215-billion-media-unit-sale-2025-11-07/

 

WBD、Q3決算

Warner Bros. Discovery(WBD)は2025年Q3決算を発表し、売上は$9.05B(1兆3,575億円)で前年同期比6%減、最終損益は前年の[…]

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Warner Bros. Discovery(WBD)は2025年Q3決算を発表し、売上は$9.05B(1兆3,575億円)で前年同期比6%減、最終損益は前年の$135M(202億5,000万円)の黒字から$148M(222億円)の赤字となりました。映画スタジオとストリーミング事業が底堅さを示した一方、ケーブルネットワークを中心としたリニアテレビ事業の減速が全体を押し下げました。前年に欧州向けにオリンピック関連の権利収入があった反動も業績に影響しています。

 

 

こうした中、同社は経営構造の見直しを進めています。CEOのDavid Zaslav氏は決算発表後の投資家向け説明会で、映画スタジオとストリーミングサービスをまとめる「Warner Bros.」と、CNNやTNT Sports、Discoveryなどのケーブルネットワークを含む「Discovery Global」の2社への分社化に加え、資産の一部もしくは全社売却まで含めた「幅広い戦略的選択肢」を検討中であることを改めて強調しました。同氏は詳細には踏み込まなかったものの、「進行中のプロセスが存在する」と述べ、買い手候補との協議が動いていることを示唆しています。

 

セグメント別に業績をみると、Streaming & Studios部門は堅調でした。売上は前年同期比8%増の$5.28B(7,920億円)、調整後EBITDAは58%増の$1.01B(1,515億円)となりました。ストリーミングサービス(HBO MaxおよびDiscovery)は売上が$2.63B(3,945億円)で前年並み、調整後EBITDAは19%増の$345M(517億5,000万円)。広告入りプランの拡大が寄与し、広告売上は15%増の$235M(352億5,000万円)、ディストリビューション収入は前年並みの$2.32B(3,480億円)でした。ストリーミングサービス会員数は、前四半期比で230万人増の1億2,800万人です。

 

映画スタジオ事業は劇場公開作品が好調で、売上が24%増の$3.32B(4,980億円)と大きく伸びました。

 

一方、リニアテレビ事業は構造的に厳しい局面が続きます。Global Linear Networks部門は売上が22%減の$3.88B(5,820億円)、調整後EBITDAは20%減の$1.70B(2,550億円)でした。国内の有料テレビ加入者数が9%減少したことで、ディストリビューション収入は8%減の$2.39B(3,585億円)。国内視聴者数が26%減少したことなどを背景に、広告売上は20%減の$1.19B(1,785億円)に落ち込みました。

 

ストリーミング広告とリニア広告の売上規模の差は依然として大きく、ストリーミング広告の伸びがリニア広告の縮小を補うには至っていない状況で、全社の広告売上は16%減の$1.41B(2,115億円)でした。

 

コンテンツ売上は3%減の$2.65B(3,975億円)でしたが、これは前年のオリンピック放映権のサブライセンス販売の反動によるもので、その影響を除けば23%増となります。

 

分社化の狙いについて、WBDは「成長が見込める資産」と「構造的縮小が続く資産」を切り分け、投資・資本政策・M&Aの柔軟性を高めるためだと説明しています。すでにParamountは3度にわたり買収提案を行ったと報じられており、Comcast、Amazon、Netflixなども関心を示しているとされています(10月27日付記事参照)。CNBCは、WBDがクリスマスまでに今後の方針を公表する可能性があると伝えています。分社化自体は2026年半ばの完了を見込み、規制当局による承認プロセスを踏まえると、「まず分社化し、その後に一部または両方を売却する」ほうが税務・評価面で有利と見られています。

 

分社化か売却か、WBDの意思決定はメディア業界の勢力図を大きく変える可能性があり、年末に向けてその動向が注目されます。

 

(参考リンク)

https://s201.q4cdn.com/336605034/files/doc_earnings/2025/q3/earnings-result/WBD-3Q25-Earnings-Release.pdf

https://s201.q4cdn.com/336605034/files/doc_earnings/2025/q3/earnings-result/WBD-3Q25-Shareholder-Letter.pdf

https://www.wsj.com/business/media/warner-bros-continues-to-evaluate-options-amid-swing-to-quarterly-loss-3f9c2074

https://www.adweek.com/convergent-tv/wbd-ceo-says-company-has-active-process-underway-amid-sale-reports/

https://www.cnbc.com/2025/11/05/warner-bros-discovery-wbd-sale-split-plans-deadline.html

https://www.adexchanger.com/tv/wbd-insists-its-streaming-and-studio-businesses-are-worth-acquiring/

Amazon、広告売上が24%増(Q3決算)

Amazonの広告事業が、クラウドに次ぐ収益の柱として成長を加速させています。同社が発表した2025年Q3決算では、広告事業は売上が前年同期比24%増の$17.[…]

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Amazonの広告事業が、クラウドに次ぐ収益の柱として成長を加速させています。同社が発表した2025年Q3決算では、広告事業は売上が前年同期比24%増の$17.7B(2兆6,550億円)に達し、四半期ベースで過去最高を更新しました。

 

Andy Jassy Photo by Noah Berger/Getty Images for Amazon Web Services

 

Amazonの広告事業には、出品者・ベンダー向けスポンサー広告、Prime Videoの広告、ディスプレイ広告、そして成長中のDSP事業が含まれます。特にPrime Videoにおける広告需要が拡大しており、2025–26年シーズンのアップフロント交渉では想定を上回るコミットメントを獲得したとしています。

 

Prime Videoにとって、ライブスポーツは広告強化のコアエンジンとなっています。「Thursday Night Football」シーズン4は平均視聴者数が1,530万人と、昨シーズン7試合平均と比べて16%増。新たに200カ国で配信を開始した「NBA on Prime」では、開幕戦ダブルヘッダーの米国内視聴が平均125万人に達しました(いずれもNielsen調べ)。こうした「ライブ×ストリーミング」の組み合わせは、広告主からの評価を勝ち取っています。

 

広告主にとっての魅力は、Prime Videoが持つ圧倒的なリーチです。Amazonによると、5月時点で米国での広告入りPrime Video視聴者は月平均1億3,000万人を超え、前年比で1,500万人増でした。月間視聴時間も37%増と好調です。Twitch、MGM Studios、Wondery、Amazon MusicといったAmazon傘下のコンテンツサービスを含めると、月間広告リーチは世界で3億人規模に拡大します。

 

DSP関連では、Netflix、Spotify、SiriusXM Mediaと新たに提携し、既存のDisney+、HBO Max、Paramount+、Peacock、Tubi、Fox Oneなどに加えて主要ストリーミングサービスの広告枠を横断的に買い付けられるようになりました(10月9日付記事参照)。これによりAmazonは、コネクテッドTV時代の「広告配信のハブ」としての地位を固めつつあります。

 

AIを活用した広告ソリューションも進展しています。9月には、広告クリエイティブの企画から制作・配信までを短時間で実行できるチャットボット型のエージェントAIツール(ベータ版)を発表しました(9月22日付記事参照)。

 

全社では、売上が13%増の$180.2B(27兆300億円)、純利益は$21.2B(3兆1,800億円。前年同期は$15.3B=2兆2,950億円)。営業利益は前年同期並みの$17.4B(2兆6,100億円)でしたが、FTCとの和解費用と人員削減関連費用を除けば$21.7B(3兆2,550億円)相当でした。President & CEOのAndy Jassy氏は「AIが事業全体に有意義な改善をもたらしている」と全体を振り返っています。

 

AI関連ではクラウド事業AWSが引き続き成長し、売上は20%増の$33.0B(4兆9,500億円)でした。Jassy氏は決算説明会の冒頭でAWSについて触れ、2022年以来の成長ペースを取り戻したことを強調。決算発表の数日後には、OpenAIと$38B(5兆7,000億円)規模の契約を締結し、今後7年間AWSがChatGPTの主要インフラを提供することが示されています。

 

さらにJassy氏は、AIを活用した「エージェント型コマース(Agentic Commerce)」に言及。欲しいものが決まっていない状況でも、AIが利用者の好みや文脈から購入をサポートすることで、オンライン購買は新たな段階に入ると期待しました。

 

一方、決算発表と同じ週に、Amazonは約1万4,000人規模の人員削減計画を発表しています。AI導入などを受け、組織の階層を減らし、より迅速に意思決定できる体制への再編が目的とされています。報道によれば、最終的な削減数は3万人規模に達する可能性もあるということです。

 

(参考リンク)

https://ir.aboutamazon.com/news-release/news-release-details/2025/Amazon-com-Announces-Third-Quarter-Results/

https://www.aboutamazon.com/news/aws/aws-open-ai-workloads-compute-infrastructure

https://www.hollywoodreporter.com/business/digital/amazon-ad-revenue-soars-q3-prime-video-dsp-1236414431/

https://www.adweek.com/commerce/amazon-q3-earnings-results-aws-ads-business-cloud-ai/

https://www.thewrap.com/amazon-earnings-q3-2025/

https://www.mediapost.com/publications/article/405814/amazon-goes-upfront-prime-video-monthly-viewing-h.html

TTD、Shopsense AIと提携しショッパブルを強化

The Trade Deskが、広告主に向け新たな「コンテクスチュアル」スポンサード商品広告の提供を開始しました。スタートアップ企業Shopsense AIとの[…]

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The Trade Deskが、広告主に向け新たな「コンテクスチュアル」スポンサード商品広告の提供を開始しました。スタートアップ企業Shopsense AIとの連携を発表し、オープンインターネット上のパブリッシャーコンテンツ内で、より自然な形で購買に直結する広告体験を可能にします。

 

この統合はThe Trade Deskのサプライ統合基盤「OpenPath」を通じて実現しており、広告主はパブリッシャーのコンテンツのすぐ横に商品リスティングを直接配置できるようになりました。たとえばマラソンの記事の横にNikeのランニングシューズを表示したり、レシピ動画の下に調理器具へのリンクを挿入するなど、ユーザーが閲覧しているコンテクスト(文脈)と商品をAIが自動的にマッチングさせ、購買行動に直結させる仕組みです。

 

The Trade DeskのInventory Development担当SVPであるWill Doherty氏は、「この統合によって、インベントリ面での接点を広げ、高い関連性を生み出すことができる」と述べており、これによりCTV、ウェブ、オーディオなどのオムニチャネルにおけるインプレッションが、すべて“ショッパブルメディア”として機能するようになるとしています。(オムニチャネルという点がキーですね)

 

この仕組みを成立させるためには、パブリッシャー側がShopsense AIの技術を導入し、かつThe Trade DeskのOpenPath経由で在庫を提供していることが前提となります。つまり、Shopsenseがページ上のコンテンツを解析して生成する「文脈データ」や「商品コンテキスト情報」を、The Trade Deskが入札対象として受け取れる構造が必要となります。Shopsenseは生成AIと機械学習を組み合わせて、パブリッシャーのページ内にある画像やテキスト、動画を解析し、セレブが着用しているサングラスや試合のハイライトに登場するチームユニフォームなどを自動で検出します。そして、それらを広告主が入札できるターゲティングパラメータへと変換し、The Trade DeskのDSPがOpenRTB経由で適切なスポンサード広告を配信する仕組みです。

 

Shopsenseの技術はすでに複数のプレミアムパブリッシャーで実装が進んでおり、特にDisneyやFoxといった大手メディアグループが先行的に採用しています。Disney Advertisingでは2025年6月に発表された「From Screen to Shopping Cart」というプロジェクトの中で、Shopsenseの技術を活用したCTV上のショッパブル広告を展開しています。視聴者はストリーミング番組やスポーツ中継の中で見た商品をQRコードや「Send to Phone」機能を通じてその場で購入ページにアクセスでき、番組視聴から購買までをワンクリックで完結できるようになりました。Disneyはこれを“Shop the Stream”というフォーマットとして推進しており、視聴者データと購買データを統合し、上流のブランド訴求から下流の購買成果までを一気通貫で測定・最適化する新たな広告モデルを構築しています。さらに、DisneyはGopuffとの提携を通じて、スポーツ観戦中にスナックやドリンクを注文できる「バーチャル・コンセッションスタンド」を展開しており、ShopsenseのAIがその背後で商品の認識や関連づけを支えています。

 

同様に、Fox傘下のストリーミングサービスTubiでもShopsense AIが導入され、AVODコンテンツ内でショッパブル体験が実装されています。動画内に登場する衣類や家電、ガジェットなどをAIが認識し、関連する商品のリンクを動画内にネイティブ形式で挿入します。視聴者はその場でクリックして購入先へ進むことができ、従来の「番組と広告を分離した構造」から「コンテンツそのものが購買の入り口となる構造」へと移行しています。FoxのTubiはShopsenseと早期に協業したメディアの一つであり、広告在庫をThe Trade DeskのOpenPath経由で提供しているパブリッシャーです。

 

The Trade DeskとShopsense AIの統合は、広告主にとって新たな購買接点を開くだけでなく、パブリッシャーにとっても自社在庫を高付加価値化する新しい手段となりそうです。Bain & Companyが2024年12月に実施した調査では、45%の消費者が「関連性のあるスポンサード広告なら気にならない」と回答し、40%が「うまく設計された広告は購買体験を改善する」と答えています。こうした消費者意識の変化を背景に、メディアとコマースの融合は今後さらに加速していくと見られています。

 

(参考リンク)

https://www.forbes.com/sites/sharonedelson/2025/04/15/shopsense-ai-scales-content-and-commerce-for-broadcasters/

https://press.disneyadvertising.com/from-screen-to-shopping-cart-disney-makes-streaming-ads-shoppable-and-actionable

https://www.shopsense.ai/posts/tubi-launches-shoppable-experience-with-shopsense-ai

https://www.adweek.com/programmatic/the-trade-desk-shopsense-ai-shoppable-ad-inventory/