第59回NFLスーパーボウルが2月9日、ルイジアナ州ニューオーリンズで行われ、地上波のFOX、スペイン語放送のFox DeportesとTelemundo、FOXのFASTサービスTubi、加えて、NFLのデジタルプラットフォーム(NFL+など)で中継されました。試合自体は、Philadelphia Eaglesが3連覇を狙うKansas City Chiefsに圧勝するというワンサイドゲームとなりましたが、平均視聴者数1億2770万人(Nielsen)となり過去最高を記録しました。FOXが最後に中継した2年前の第57回が1億1510万人、昨年の第58回はParamount Globalが中継し1億2340万人で、今年で3年連続の記録更新となります。今年の視聴者数ピークは第2クオーターの1億3770万人でした。
観戦には多くのセレブに加え、トランプ大統領が歴代大統領で初めてスタジアム観戦したほか、ChiefsのTravis Kelceと交際しているテイラー・スウィフトの姿もありました。
Kendrick Lamarによるハーフタイムショーも、リニア、配信、デジタルプラットフォームの合計で平均1億3350万人となり、こちらも史上最多を記録しています。1993年のMichael Jacksonの1億3340万人をわずかですが上回りました。中継直後からソーシャルやメディア間でも「最低だった」「最高だ」と、賛否が両極端に分かれたパフォーマンスでしたが、それだけに注目されたということなのでしょう。サプライズでLamarの因縁の相手であるDrakeの元交際相手とされるテニスプレーヤーのSerena Williamsが登場し、場を盛り上げました。
FOXは今回Tubiでもライブ配信をしましたが、スーパーボウルが無料でライブ配信されたのは今年が初めてです。昨年のParamount+は有料でした。今年全プラットフォームでの視聴者数が新記録を達成したのも、この無料配信が後押ししたと言われています。FOXによると、今年の配信視聴者数は1450万人で、スーパーボウル中継史上最高だったそうです。そのうち1360万人はTubi経由でした。
とはいえ、まだまだスーパーボウル視聴はリニアが主流で、地上波FOXが平均1億1150万人(FOXデータ)で圧倒的です。スペイン語放送のFox DeportesとTelemundoは、2局合計で187万人でした。
配信といえば、映像遅延も今後の課題です。地上波はほぼリアルタイム映像ですが、配信だと60秒以上の映像遅延が見られたと、リアルタイム映像技術を提供するPhenixがデータを公表しています。今回のスーパーボウルで映像遅延が最も短かったのはTubiですが、それでも41秒の遅れでした。プラットフォーム別に見ると、NFL+が51秒、Huluが62秒、DirecTVが63秒、Sling TVが64秒、YouTube TVが67秒、Fuboが78秒だったということです。
今年は30秒CMが初めて$8M(12億円)を超えましたが、毎年注目されるスーパーボウルのCMについて、Adweekは「予想通り全体のトーンは“スーパーフィシャル”で、コメディー寄りだった」と評価しています。国が政治的に二極化しているこの時代に、「主義」「主張」のある”深い”クリエーティブを避け、著名人を引っ張り出して軽い内容で笑いを誘うものが多かったということです。
中でもAdweekが選ぶトップ広告はMichelob Ultra。俳優のCatherine O’HaraとWillem Dafoeの高齢カップルが、ピケットボールやバスケなど著名な現役プロスポーツ選手に試合を挑み、予想に反してシニアパワーを炸裂させ、爆勝ちするというものです。このCMが印象に残ったという視聴者も多いようです。その他、Disney+、オートブランドRAMほかがAdweekのベスト5入りしています。ワースト5も発表されていますので、(参考リンク)をご参照ください。
恒例のUSA TodayのAd Meterもランキングを発表しており、全57ブランドのCMを視聴できるようになっています。こちらも(参考リンク)をご参照ください。
(参考リンク)
https://www.axios.com/2025/02/11/record-1277m-watched-super-bowl-lix
https://www.adweek.com/brand-marketing/the-best-super-bowl-ads-of-2025/
https://www.adweek.com/brand-marketing/the-5-worst-ads-of-super-bowl-59/