NBCUはPeacockの無料プランを廃止していますが、その代わりにFASTチャンネル戦略を推し進めています。この夏から30近いFASTチャンネルをXumo PlayとAmazon Freeveeに追加します。(おそらくRoku Channelなどにも展開するでしょうが、広告在庫シェアの交渉中かと思われます。)
新たに加わるコンテンツのほとんどは、NBCU傘下のテレビ・配信のエンターテインメント、ニュース、スポーツ、それにスペイン語のコンテンツ。NBCの「Saturday Night Live」からBravoの「Top Chef」「Real Housewives」といった人気番組に加え、「The Lone Ranger」「Lassie」「Alfred Hitchcock Presents」といった、往年のモノクロ・クラシック番組も無料配信されます。シットコム、アクション、犯罪、ウエスタン、ブロックバスター映画といった、ジャンル別のFASTチャンネルも加わるそうです。
NBCUはすでにNBC、Bravo、NBC Sports、Telemundoから、「Dateline 24/7」「NBC News NOW」など、主に全米ニュースやローカルニュースのFASTチャンネルをXumo上で展開しています。今回新たに加わるFASTチャンネルを合わせると、夏以降は合計で50近いFASTチャンネルを展開していくことになります。
NBCUも他の大手メディアと同様に、自社コンテンツを自社配信サービスのみで配信することを試み、結果的に黒字化には至っていません。さらに、視聴者が好きなコンテンツだけを視聴し、有料配信サービスを契約したり解約したりする時代で、リテンションや予算管理も難しくなっています。その中で、FASTチャンネルはまさに“雨後の筍”のごとく放送局にとっての新たな収益源として注目されており、まさに”FASTs Are The New Cable”になっているわけです。Warner Bros. DiscoveryもコンテンツをRokuやTubiのFASTチャンネルで配信し始めていますし、FoxはTubi、ParamountはPlutoでFASTチャンネルを展開しています。
NBCUは「地上波とケーブル放送では視聴することができないNBCUの過去の人気番組は山ほどある。このNBCUの貴重なる財産を、FASTチャンネルにキュレートしていく。」としています。
コロナ禍が終わり、各社が黒字化を目指す中で、配信戦略にも方向性が出てきました。トップティアのSVODモデル(高額)、セカンドティアのSAVODモデル(低額)、サードティアのFAST(無料)という感じかと思います。NetflixやDisneyについても下記の記事のようにFASTチャンネルを作るべきだという意見もあり、おそらく各社はそうした方向に舵を切っていくものと思われます。