電通は年2回更新する「世界の広告費成長率予測」の最新版を発表。2023年の世界広告費を前年比3.3%増の$727.9B(94兆6,270億円)と予測し、2022年12月に示した3.5%増の見通しをわずかに下方修正しました。デジタル広告は引き続き成長をけん引するものの、成長率は従来の2ケタ台から1ケタ台に鈍化するとしています。
世界広告費の下方修正は、先行き不透明な経済状況が及ぼす消費活動の減少を考慮したものです。2024年はパリ五輪・パラリンピック、UEFA欧州サッカー選手権、米国大統領選挙などが起爆剤となり4.7%増、2025年も3.8%増の見通しで、波はありますが順調に成長が続くと分析しています。
デジタル広告費は、2023年に7.8%増の$424.3B(55兆1,590億円)を予測。成長率は2021年の32.3%増、2022年の14.5%増から大きく減速しますが、広告費全体の成長率と比べれば2倍以上という予測です。ただし、少なくとも向こう2年間は緩やかな成長となる見込みで、インドなど急成長を続ける市場もありますが、世界ベースでは2024年は6.2%増、2025年は5.9%増に減速するとしました。
この間、デジタル広告費が広告費全体に占める割合は、2022年の55.8%から2023年は58.3%に拡大し、2024年はさらに59.1%、2025年には60.3%に増える見通しです。
また、2023年はリテールメディアが18.0%増、CTVが15.2%増など新興デジタルチャンネルの高成長を見込むほか、プログラマティック・バイイングも14.4%増加し、デジタル広告費の71.4%を占めるとの見方を示しました。
そのほか、媒体別ではテレビ広告が3.1%減の$170.2B(22兆1,260億円)と落ち込むものの、2024年はプラス成長に回復を予測。印刷メディア(新聞・雑誌)は下降が止まらず、4.8%減の$48.4B(6兆2,920億円)。対照的に、OOHは3.8%増、シネマは2.1%増、オーディオは0.8%増となっています。
市場別では、勢いがある順にアジア太平洋が4.6%増、アメリカが2.9%増、EMEAが1.9%増を見込んでいます。
レポート(原文)は下記からダウンロード可能です。
https://insight.dentsu.com/ad-spend-may-2023/